$あれも聴きたいこれも聴きたい 爽やかなルックスに惑わされてはいけません。こいつらかなりエロいですよ。きっと。年頃の娘を持つ親としては、警戒しないではいられません。

 60年代の大人のような書き方で始めてみました。猥雑なロックンロールです。ただし、私たちの年代がロックンロールと聞いて思い浮かべる音楽とは少し違います。そこまで古典的なロックではなくて、70年代後半のパンク隆盛時にあった原点回帰的ロック・バンドのそれに近いです。若い人にはそれでも随分前の話ですけれども、私にとってはリアル・タイムです。

 ボーディーズは小学校の同級生3人に高校からの合流組1人を加えた4人組ロック・バンドです。ドラムス、ベース、ギター2本。ビートルズ編成です。全曲英語の歌詞。ドがつくストレートなロックで押しまくります。若くていいですね。

 私が彼らの音楽に触れたのは、御多聞に漏れず、向井理主演のテレビ・ドラマ「ハングリー」です。2012年の冬ドラマの主題歌がボーディーズの「ロック・ミー・ベイビー」でした。カッコ良かったのでずっと気になっていましたから、アルバムが発表されたと聞いて早速手に入れてみました。

 今、調べたところによると、ドラマにも常連客として何度か出演していたようです。見ていた時には、ソイル&ピンプ・セッションの社長さんしか気がつきませんでした。ロック・バンドの夢をあきらめてシェフになった男の話ですから、他にもバンド関係の方々が出演していたのですね。ドラマも面白かったですよ。

 彼らの夢は「ロックンロールが日本のポピュラーミュージックの一つになること」だと語っています(オリコンスタイルHP)。その伝道師として使命感を持った活動をしています。彼らが影響を受けたのは、編成が編成だけにビートルズかと思いましたが、そのさらにルーツを見ています。

 何でも60年代アメリカのガレージ・バンド、ザ・ソニックスに衝撃を受けて、そこから過去のルーツに遡って、ソウルやブルースにたどり着いたそうです。それでまたソニックスに戻って3年かけてバンド・デビューということになりました。その感激を伝えたいという使命感なんでしょう。

 これは、本人たちが言うように、自分たちの周りにビートルズ登場前夜状態を作り上げて、満を持して登場したということですね。まことに若い。若さの特権です。ここまで夢中になって、その中に自分を投企する。素晴らしいです。

 本作品は彼らの3枚目。全編アップテンポのストレートなロックンロールで埋め尽くされています。しゃがれ声のボーカルは、リトル・リチャードのコピーから入ったということで、堂々と様になっています。私などは時に牛心大王キャプテン・ビーフハートを思い出しました。いいですよ。これは。

 ルーツに忠実にありたいという姿勢は立派です。私としては彼らには将来もこれ一本で行ってほしい。長年同じことをやり続けているバンドとしては、ジャンルは違いますが、イギリスにステイタス・クォー、アメリカにラモーンズ、オーストラリアにAC/DCがいます。

 若いだけにいろいろと言ってくる人がいると思いますが、先達を見習って、惑わされずに真っ直ぐ進んでほしいと思います。ビート感覚が黒人よりも白人なのですが、ライブを重ねて突き詰めて行ってほしいものです。

 若返りました。

1-2-3 / The Bawdies (2013)