$あれも聴きたいこれも聴きたい 久しぶりにインドに行って参りました。出張だったのであまり時間はありませんでしたが、仕事が終わってからCD屋さんに行って何枚か仕入れてき参りました。それはおいおいご紹介するとして、3年ぶりのインドでラジオからこの作品の曲が流れてきて懐かしくなりました。

 この作品は、2007年10月に公開された映画のサントラ盤です。映画はインド国内のみならず海外でも大ヒットして今でもインドの恋愛映画の代表作の座を占めています。このサントラも大いにヒットしました。リミックスが半分入っているので正味全部で6曲、それが全部ヒットしました。

 今回、ラジオから聞こえてきた曲は「イェ・イシュク・ヘー」です。カタカナで書くと何とも間抜けに見えますね。「これが恋」ってな意味です。このサントラ盤では唯一の女声ボーカル曲で、これがまた本当い可愛らしい。歌手はシュレヤ・ゴシャール、インドを代表するプレイバック・シンガーです。

 シュレヤはこの曲でインドのナショナル・フィルム・アウォードで最優秀女性歌手賞を受賞しました。インド映画と言えば思い出されるキンキンした高い声の正統派歌手ですから、インドでの人気は大変なものです。メロディーもカワイイし、特に巻き舌で♪オ、ラ~~マ♪というところなんてキュンキュンしますね。私も大好きです。

 映画は、仕事と恋に失敗して絶望した二代目経営者のアディティヤが、前向きなパンジャブ娘ギートと知り合い、自分を取り戻していくお話です。最後は二人がめでたく結婚してハッピー・エンドとなります。コメディーですからね。

 アディティヤを演じたシャヒード・カプールとギートを演じたカリーナ・カプールは、それまでもスターではありましたが、この映画で一躍ブレークしました。特にカリーナはトップ女優ですね。私はカリーナ・カプールのファンではありませんが、この映画での彼女は本当に可愛かったと思います。彼女はこの映画でインド国内のさまざまな映画賞で最優秀女優賞を総なめにしています。

 音楽はキャッチーな曲作りには定評のあるプリタム・チャクラヴァルティーです。彼は剽窃の疑いも多くかけられる人で、私はあまり好きではありませんでした。しかし、耳に残っているのは彼の曲が多いですね。このアルバムもその一つで、これは彼の最高傑作の一つじゃないでしょうか。

 ところで、今回の映画はギートの出身地としてパンジャブが設定されています。インドとパキスタンにまたがるパンジャブ州は音楽で言いますと、英国を席巻したバングラ・ビートの発祥の地です。そういうわけですから、この作品ではバングラ全開です。

 もともとは踊りのビートです。この映画ではみんなで踊るシーンが多くて、それがパンジャブを強調するもんですから、典型的なバングラ・チューンが並びます。プリタムらしい下世話さがこの場合とてもよく合っています。

 そして、シュレヤの歌以外の5曲はそれぞれ別の男性シンガーを使っていて、さながらインド・プレイバック・シンガー界のカタログのようになっています。私はソヌー・ニガムが好きです。ただここで一番活躍しているのはミカ・シンですかね。皆さんご存知ないですか。それは失礼しました。

 ところで、この映画のタイトルは凄いです。インドでは英語と現地の言葉をちゃんぽんで話すことが多いです。日本でもカタカナ語ってありますよね。しかし、インドは想像を超えています。このタイトルは、ジャブだけヒンディー語で、後のウィー・メットは英語です。ジャブって英語ではWhen、要するに英語で言えば「When we met」です。これはもはやルー大柴語ですね。

Jab We Met / Pritam (2007)