$あれも聴きたいこれも聴きたい-Joshua Bell 今日はバイオリンです。イケメン天才ジョシュア・ベルのバイオリン協奏曲集を聴いてみました。クラシック界の貴公子といったところでしょうか。

 この作品は97年に発表されました。曲は、サミュエル・バーバーのバイオリン協奏曲、ウィリアム・ウォルトンのバイオリン協奏曲、エルネスト・ブロッホの「バール・シェム」の3曲です。恥ずかしながら、この三人の名前は初めて知りました。

 言い訳するわけじゃないですが、私の持っているクラシック名曲ガイドにはバーバーしか載っていません。別の名盤ガイドには3人とも名前が載っていません。クラシック界でもそれほど有名な人じゃないんでしょうね。

 ブロッホは59年、バーバーは81年、ウォルトンは83年。それぞれの没年です。ほぼ私たちと同時代人と言ってもいいでしょう。ベルは、あまり演奏されない作品の再評価にも熱心だったということですから、こういう選曲も合点がいくというものです。

 ジョシュア・ベルと言えば、私などのクラシック門外漢には、例のワシントン・ポスト紙の企画にまず目が行きます。これは、2007年、朝のラッシュアワーの駅構内で、ストリート・ミュージシャンに扮したベルさんがバイオリンを弾いて、乗客がどういう反応を示すか見ようというものです。場所はワシントンDCです。

 45分間に及ぶ演奏の結果、1000人以上が通り過ぎ、そのうちお金を置いていった人は28人、立ち止まって演奏を聴いたのは7人、ベルさんだと気付いた人は1人だけだったということです。

 お金の合計は50ドル強で、ベルさんだと気付いた女性の20ドルを除くと30ドル強です。わずか30ドルと言われているようですが、ストリート・ミュージシャンが45分で30ドルですよ。贅沢しなければ1日生活できますよね。ラッシュアワーでなければ結構な人が集まったんじゃないかとも思います。

 やはりクラシックの方はポップ・スターほどには顔が売れていないので、なかなか気づかれないものです。それにクラシック愛好家の多くは車通勤じゃないかとも思います。いろいろと考えさせられる実験です。

 この作品ですが、約70分にわたって弾きまくっているジョシュア・ベルの演奏は迫力満点です。それはよく分かります。熱い魂の叫びと言ってもよいでしょう。かっこいいです。選ばれた楽曲はいずれもバイオリンを弾きまくる類の作品ですから、余計に映えます。

 ただ、三曲ともどちらかと言えば甘い作品で、何だか捉えどころがない印象です。これはライブで見て楽しむ音楽なのでしょうね。

Samuel Barber : Concerto for Violin and Orchestra, op.14
Ernest Bloch : Baal Shem
William Walton : Conerto for Violin and Orchestra
/ Joshua Bell, David Zinman, Baltimore Symphony Orchestra (1997)