$あれも聴きたいこれも聴きたい-Tommy Heavenly _ Heavy Starry Heavenly マツコ・デラックスやミッツ・マングローブの名前の並びはトミー・ヘヴンリーやトミー・フェブラリーと同じです。どちらが先か詮索しても詮無いことですが、少し気になりますね。あっ、気になりませんか。それは失礼しました。

 トミー・ヘヴンリーの2作目は傑作だと思います。フェブラリーで来るかと思ったら、そのオルター・エゴのヘヴンリーが活動を本格化させました。ただ、今回はPVで両者が共演したりもしています。仲良くなりました。

 本作のポイントはご本人によれば、1曲目と曲順だということになります。その1曲目は「ヘビー・スターリー・チェイン」。この曲は、ヘヴンリーの世界観を象徴していて、「ダークな白雪姫に扮して悲劇のヒロインを演じて楽しむようなナルシストな面」を表しています。

 もともと「ヘヴンリーは、その溜め込んだフラストレーションの闇から実態を持ってしまった第2の人格なので、主にフラストレーションをイメージした音楽性とキャラクターで、フェブラリーが制圧してる暗黒面を表現するプロジェクト」として始まりました。

 しかし、ソロ・プロジェクトを始める際に、キャラをつくったわけですけれども、次第にプロデューサーとしての川瀬智子さんがフェブラリーとヘヴンリーに乗っ取られていったようです。どちらが素かわからなくなったというか、そもそも素って何?ということなんでしょうね。とても自然になってきました。

 この作品はハロウィンがモチーフになっていたり、血みどろのニーハイ・ソックスが出てきたり、タラコ・キューピーと共演したり、死神が出てきたりと可愛いゴシック系のイメージで統一されていて、そこは夢の世界のようにも思えます。しかし、逃げたいけど逃げず、最後に魂が救済されるというテーマは見事に地に足がついています。

 サウンドは、一言で言えばかっこいいロックということでしょう。同時代のロックを見事に消化したギターを中心にした轟音ロックはなかなか聴きごたえがあります。トミーのボーカルもファーストでは、ちょっと作為的なところがありましたが、ここでは自然にドスが効いてきてかっこいいです。

 楽曲の中では、私は「プレイ」がもう大好きで大好きで。少年ジャンプの人気漫画「銀魂」のアニメ主題歌となり、久しぶりのトップ10ヒットとなりました。ご本人もこの曲がターニング・ポイントになったと述懐されています。トミーさんのいっぱいいっぱいのボーカルの感じがとても曲に合っています。メロディーと歌詞の絡み具合も完璧で、突き抜けた清々しさがある曲です。

 ほかにもシングル・カットされた曲は一曲一曲が練りこまれています。その完成度が高すぎて、それ以外の曲が少し不利かなとも思います。ただ、曲の流れは確かに良く考えられていて、結構あっという間の50分です。いい作品ですね。

 ところで、「ラッキー・ミー」などはAKBが歌ってもいいかなと思ったりもしました。意外な親和性を発見。

(引用はDDマガジン37号より)
 
Heavy Starry Heavenly / Tommy Heavenly 6 (2007)

初めて見ました。かっこいいです。