$あれも聴きたいこれも聴きたい-ももいろクローバーZ 02 今頃、紅白の話題で恐縮ですが、2012年紅白のももクロは素晴らしかったですね。感動しました。私としては、ももクロ、美輪明宏、矢沢永吉がベスト3でした。3組ともに紅白のステージだということを感じさせず、あたかも自分たちのコンサートの場にカメラが入ったかのような求心力を発揮していたと思います。

 ももクロの場合、代々木の路上からデビューしたということですから、紅白出場というのは格別な意味があるんでしょうね。その憧れの場であのパフォーマンスは見事だと思います。口パクではありませんでしたし。喜びを力に換える能力に秀でているのでしょうね。

 それに改めて見直してみると、結構音が外れてたりするんですが、リアルタイムで見ていた時には全くそんな風には思いませんでした。私も魔法にかけられていたということでしょう。素晴らしいです。

 このシングル盤はテレビ・ドラマ「悪夢ちゃん」の主題歌でした。私は結構このドラマが好きで毎週欠かさず見ておりました。かなり無理なストーリーでしたけれども、勢いがあってよかったです。おバカな役の優香とか、暗いんだか明るいんだか分からない悪夢ちゃんとか面白かったです。こういうの結構好きなんですよね。

 その勢いのあるドラマを盛り上げていたのが、この曲でした。なんと布袋寅泰さんの作曲です。もちろん彼のギターも存分に含まれています。懐かしさを覚えるとてもロックでキャッチーなサビは素晴らしいです。皆で唄うと盛り上がりそうです。ドラマでも最後に悪夢ちゃんと子供たちが歌っていました。

 カップリングの「黒い週末」のギター・ソロは、あの実力派バンド人間椅子の和田慎治さんです。本格派的なロックのギターです。かっこいいですね。ロック・ファンに活を入れたももクロはここで布袋、和田とディープなロック野郎を連れてきて、見事に私たちの期待に応えてくれました。

 もう一曲カップリングがありまして、こちらは子供たちに大人気の「会いに行ける歌のお兄さん」チーミーの曲です。「会いに行ける」アイドルはAKBですから、これはなかなか面白い人選ですね。みんなの歌的なエレクトロ子どもポップな歌です。

 三曲ともになかなか話題豊富です。狙うターゲットに対するアプローチが普通のアイドルとはちょっと違うところが面白いですよね。布袋、和田と来るとまさに大人の男という感じですし、そこに子ども向けのチーミーが絡む。ど真ん中ストライクの10代、20代の若者層にとっては新鮮に映るんじゃないでしょうか。もちろん大人も子供も楽しめますし。

 そういうわけで元気あふれるももクロの戦略に見事にはまってしまっています。この際、コンサートも見に行ってみようかな。

サラバ、愛しき悲しみたちよ / ももいろクローバーZ (2012)