$あれも聴きたいこれも聴きたい-Kajagoogoo 「Kajaな気分はGoo Goo、ハートはピッタシKaja Goo Goo」。やってくれますねえ、日本のレコード会社は凄いです。80年代でも指折りの名コピーだと思います。

 これは、「話題騒然!80年代に現れた大型スーパー・アイドル。”鮮烈ロンドンキッズ”カジャグーグー、デビュー・アルバム!!です。

 ジャケットは英国オリジナル盤を復刻したものですが、当時発売された日本盤のジャケットはもちろんこんな地味なものではありませんでした。なんたってスーパー・アイドルですから。もちろん、メンバーのポートレイトになっていました。

 こういうバンドを売り出させたらやはり日本は世界一でしょう。あらよっと手慣れたところを見せてくれます。案の定、ボーカルのリマール君を始め、メンバーはここ日本でもアイドル的な人気を博することになりました。

 彼らのデビュー曲「君はTOO SHY」は、英国を始めヨーロッパ7か国で1位になり、米国でも5位と大ヒットを記録しました。その後のシングルも順調で、その勢いでこのアルバムも英国で5位となるヒットとなりました。

 その頃、ニュー・ロマンティクスという化粧した男たちのグループが大人気でしたが、カジャグーグーを見た時には、「ついにここまで」と思いました。カルチャー・クラブやヴィザージュは変態っぽかったですし、デュラン・デュランやスパンダー・バレーはマッチョでした。しかし、カジャグーグーは子どもっぽい。まさに日本的アイドルでした。

 そういうお子様的なバンドだったことも大きかったと思いますが、日本の音楽誌は概ね冷淡でした。中村とうようさんなどは、酷評されていました。「オトがあまりにも計算ずくでバッチリ出来上がっている。顔とは逆にアマいどころか可愛げナイことおびただしい」、「とてもジャケットで少しハニカミ気味にポーズしてる5人の少年たちの仕事とは思えない」。(ロックが熱かったころ)。

 プロデュースはデュラン・デュランのニック・ローズと彼らのプロデューサーでもあるコリン・サーストン。確かに、当時のテクノ、ニュー・ウェーブの売れ筋を忠実になぞった音作りです。

 しかし、彼らの言を借りると、「僕たちの意見が蔑ろにされるようなことは一切なかったし、作品に係る重要事項の決定権はバンドとマネジメントに委ねられていた」そうです。確かに、アルバム・ジャケットを見るとそうですね。曲もすべて自作ですし、なかなか実力派でもありました。

 大人たちのプロデュースではなくて、自分たちで好きなようにやったらこうなったというところが面白いです。皆が幸せなオペレーションだったんでしょうね。

 ところで、「君はTOO SHY」を始め、彼らの曲そのものは結構よかったんですよね。私は、「君はTOO SHY」を、この年から発売された洋楽コンピ「NOW」シリーズ第一作の一曲として買いました。今から思えばいろいろな曲が入っていましたが、私のお目当てはこの曲でした。いい曲ですよ。

 彼らはこのアルバムを一枚残して、ボーカルのリマール君が俺様状態になって、ギャラの取り分を過大に要求したことから脱退を余儀なくさせられます。やっぱり子どもでしたね。

White Feathers / Kajagoogoo (1983)