$あれも聴きたいこれも聴きたい-Markevich 運動会の季節です。今や、子どもの運動会となると、ビデオ・カメラの放列が並ぶのが風物詩のようになってきました。ニュースなどでみると、バカに見えますよね。私ですか?もちろんやってましたよ。バカでしたねえ。

 録ることは誰にでもできます。問題はその後ですね。きちんと整理することはなかなか難しい。何度も見られるように編集するとなるとさらに難易度は高いです。私は全くだめでした。子どもの成長を記録したビデオが整理もされないまま転がっています。しかも、メディアがころころ変わりましたから。アナログ・テープはどうなってしまうんでしょう。

 運動会の話をしてみましたが、私のようなクラシック初心者が、ビゼーの「カルメン」と「アルルの女」を聴いて、運動会以外のどんな話をせよというのか、他に答えがあるなら教えてほしいですね。大多数の日本人にとって、これはもう運動会のBGM以外の何物でもないでしょう。

 とりわけ、「カルメン」の「闘牛士」や「アルルの女」の「前奏曲」などはおなじみです。思わず走り出しそうになりました。他の曲も使われていたはず。もう一つの有名曲、「アルルの女」の「メヌエット」にしても、お弁当の時間になっていましたね。全曲、捨て曲なし。すべてが運動会用。

 ビゼーは、フランスの作曲家で、オペラや歌劇曲を得意とした人です。というか、「カルメン」と「アルルの女」とあと何曲かが有名すぎて、他の曲がかすんでしまいました。みんな運動会用ですから、なかなかクラシック界では重きをなしていないようで残念です。

 ポピュラー音楽と当時は呼ばれていたのでしょうね。芸術音楽というよりも大衆音楽的な味わいがあります。キャッチーなメロディー、各楽曲が長くて6分強、ダンスのリズムの導入などなど、ポップスの要件を満たしています。このアルバムはオーケストラ用に編集されていて、ボーカルは入っていませんが、ボーカル入りなら、ますますポップスですね。

 私は好きです。ただ、落ち着いて聴けない。じっとしていると先生に叱られそうです。運動会のことを連想せずに聴くことは不可能です。

 このアルバムは、フィリップスの名盤紙ジャケ・シリーズの一環です。マルケヴィッチの指揮でまとめられたもので、ビゼーの曲はコンセール・ラムルー管弦楽団の演奏です。勝手におまけ扱いしてタイトルに入れませんでしたが、ラヴェルの「ボレロ」も最後に入っています。こちらはスペイン放送交響楽団の演奏です。無茶なカップリングですね。

 どうでしょう。解説では、「彼の豊かな個性とともに、構成感や色彩感をも楽しめるものとなっている」と書かれています。なるほど、そういうものですか。私には、ちょっとしまりがない演奏のように聴こえますが、その方が運動会にはぴったりだな、なんて思いました。すみません。

Bizet : Carmen Suites, L'Arlesienne Suites, Ravel : Bolero / Igor Markevitch, Orchestre Ees Concerts Lamoureux, Sinfonie-Orchester des Spanischen Rundfunks (1959, 1966)