![$あれも聴きたいこれも聴きたい-Jam 05](https://stat.ameba.jp/user_images/20120922/22/memeren3/0f/0c/j/t02000199_0200019912201082719.jpg?caw=800)
私もブログでしつこくザ・ジャムの中心人物ポール・ウェラーの青春の軌跡を探ってきました。そういう気にさせる人ですし、ザ・ジャムはそういうグループなんですね。同時期に生きていた人には分かってもらえると思います。
さて、この5枚目のアルバムは、ジャム初のナンバー1ヒットとなった「ゴーイング・アンダーグラウンド」の後に発表されました。絶頂期ですね。
ここで、ジャムは次のシングル曲を巡って、レコード会社と対立します。ジャムは「スタート」を、レコード会社は「プリティー・グリーン」を推して、最後の最後までもめました。
結果、ジャムの意見が通り、「スタート」がシングルカットされると、見事に1位となりました。ジャムの勝ちですね。しかし、アルバム発表の時期を巡ってまた対立、今度はレコード会社が勝って、80年中の発表となりました。
絶頂期のジャムは、イギリス中の青春を背負っていました。特に、初期の彼らのファッションに触発されて、モッズのリバイバルが巻き起こり、ポール・ウェラーはその象徴となります。本人は本当に嫌だったようですね。
モッズというのは60年代のイギリスの若者のライフ・スタイルです。異国の地にいると今一つ事情がよく呑み込めませんが、ロッカーズと対立していたことなどから、私としては、竹の子族と似たようなものだと解釈しています。私と同世代の人ならば分かってくれるかもしれないと思うのですが、無理ですか。
とにかく、ポール・ウェラーとジャムはイギリスの若者たちのカリスマになっていったということでしょう。そのプレッシャーは大きかったと思いますが、そこで生み出された作品は、これまた素晴らしいものになりました。
ポールはレコーディングの前にしっかり曲を書いてくるというスタイルではなくて、いくつかアイデアを持ち込んで、作っていくようです。そのため、レコーディングしながら、あれこれ工夫されていって、曲が出来上がるので、経験を積んで自信も出てくると作り込みが大きくなります。
ジャムらしいストレートな曲も何曲かありますが、アコースティックな曲もありますし、インストの変な曲も入っています。当時のニュー・ウェーブ的な実験の要素も含まれていて、ポップ・スターとなったジャムも同世代なんだなあと感じさせてくれます。
面白いのは、「ザッツ・エンタータインメント」です。シングル・カットされなかったのですが、ドイツでシングル化され、イギリスに逆輸入されてヒットしました。暴動を歌った歌を、アコースティックな美しい曲にしてしまうという皮肉に満ちた曲です。イギリスならではですね。
このアルバムはアバのおかげで1位にはなれませんでしたが、これまでで最大のヒットとなり、いよいよジャムは英国を代表するポップ・スターとなりました。しかし、ポールはその位置どりに強烈な違和感を感じるようになっていきます。
これまた青春です。
Sound Affects / The Jam (1980)