$あれも聴きたいこれも聴きたい-Doobie Brothers 02 少し前から、テレビのバラエティー番組で、ダジャレ的なBGMとして、70年代、80年代のクラシック・ロックがやたらと流されるようになっています。おいしい蒲鉾を紹介する場面で「カーマは気まぐれ」とか、そんな感じ。

 それに番組のテーマ曲や、CMでの使用も多いです。一々番組用にオリジナル・スコアを書くのも大変なんでしょう。手抜きと言えば手抜きですが、私のような者には懐かしくて大変結構です。

 ドゥービーズの「チャイナ・グローヴ」は、少し前は「ロックの要」、今では日テレの「シューイチ」のテーマ曲として使われています。「ロング・トレイン・ランニン」と並んで定番中の定番ですから、一日ぼーっとテレビを見ていると必ずと言っていいほど聴こえてきます。

 何といってもリフが凄い。最初のワン・ストロークからぐいぐい来て、10秒もあれば、耳を惹きつけてしまいます。凄いですね。シングルとしては、「ロング・トレイン・ランニン」が8位、「チャイナ・グローヴ」が15位とそこそこのヒットですが、チャートの順位以上のものがあります。今でも歌い継がれる超名曲でロック・クラシック殿堂入り間違いなしです。

 この作品は、ドゥービー・ブラザーズの3枚目のアルバムで、この二つの曲を収録しています。それだけで歴史に残る作品ですね。しかし、その2曲にとどまらず、アルバムとしての完成度は非常に高いので、多くの人がこのアルバムをドゥービーズの最高傑作に押しています。

 ドゥービー・ブラザーズは前作の成功に気を良くして、前作と同じメンバーで、前作同様まだプロデューサーとしては駆け出しだったテッド・テンプルマンを起用して全く同じ体制でこのアルバムを制作しました。結果はさらに深みを増して、大成功。このアルバムは200万枚を売るヒットとなり、見事にベストテン入りを果たしました。

 ツイン・ドラムの迫力あるリズムに、ツイン・リードの絡むキャッチーなリフ、見事なコーラス・ワーク、そんなドゥービーの特徴的な音はこのアルバムで完成しました。二人のギタリスト、トム・ジョンストンとパット・シモンズの個性もいよいよ際立ち、それがバランスをもたらして、アルバムの価値を高めています。

 先の二曲も含めて11曲中6曲がトム・ジョンストン、3曲がパット・シモンズのペンになります。爽快なロックのトム・ジョンストンに対して、やや湿り気を帯びたパットの曲がいいアクセントになっています。それに、トムにはブルース全開の曲もあって感動します。

 全体に大西部の大らかさと深みを感じさせる大きな音楽になっていて、アメリカン・ロックの底力を感じます。いやあ、素晴らしいですね。

 先の二曲では私は「ロング・トレイン・ランニン」が圧倒的に好きです。「チャイナ・グローヴ」もいいんですが、リフばかりが目立って、歌の印象が薄いので、毎回、題名を思い出すのに苦労してしまうんです。

 まあ、それはそれ。本当にいいアルバムです。

The Captain And Me / The Doobie Brothers (1973)