$あれも聴きたいこれも聴きたい-Doobie Brothers 01 からからに乾いたギターのカッティングが始まるとわくわくします。ロックの本場はやはりアメリカですかねえ。いいですねえ。久しぶりにドゥービー・ブラザーズ。夏にぴったりです。

 私のドゥービー・ブラザーズ初体験はサンプル盤に入っていた「リッスン・トゥー・ザ・ミュージック」でした。乾いたギターにファンキーで迫力あるツイン・ドラム、それに素晴らしいコーラスが加わって、ドゥービー・ワールド全開です。

 無茶苦茶シンプルなメッセージを生き生きと跳ねるビートに乗せて歌い上げる。迷いなし。素晴らしい名曲です。彼らにはイントロだけで人々の心をとらえる名曲が多いのですが、私はこの曲が一番好きです。

 ドゥービー・ブラザーズは、70年代初めにデビューした米国はウェスト・コーストのロック・バンドです。同時期のウェスト・コーストにはイーグルスがいます。ドゥービーはイーグルスと並び称されることが多かったですが、イーグルスほどにはカントリーの影響が感じられません。

 むしろ、同時期の米国のロックとしては、オールマン・ブラザーズ・バンドなどのサザン・ロック勢に近いものがありました。まあその中間といったところでしょうか。

 この作品はドゥービーの2枚目になります。デビュー盤は期待が高かったにもかかわらず、商業的にはあまり成功せず、メンバーは失望したようです。しかし、西部の男はそこでくじけたりはしません。こうして起死回生のアルバムを発表しました。

 先行したシングルの「リッスン・トゥー・ザ・ミュージック」がチャートを駆け上がり、ベスト10ヒットとなると、このアルバムもそこそこのヒットを記録しました。2枚目のシングル「希望の炎」は、カバー曲でそれほどのヒットとはなっていませんが、オリジナルを越えて定番の地位を獲得しています。

 当時のドゥービーは、ギターとボーカルのトム・ジョンストンを中心としたバンドでした。彼が10曲中5曲を作り、3曲はカバー、もう一人のギター&ボーカルのパット・シモンズが2曲を作っています。トムとパットでは音楽の嗜好が少し違います。パットの方は少しウェットな感じですかね。そのバランスが結構いいです。

 ジャケットには澄ました顔のメンバーが写っています。しかし、ジャケットを開きますと、同じセットに全員ほぼ裸で女性をまとわりつかせた写真になります。ワイルドな感じを受けるかもしれませんが、ジャケ写では右に立っているジョン・ハートマンがたるんだ裸に靴下という間抜けな姿で座っているので、ワイルドからは程遠いです。

 そんな写真が似合う人たちなんですね。全米で人気を博したバンドですし、名前を挙げた二曲は今でもよく耳にする定番ソングです。上質のグルーブで申し分ないのですが、どこか脱力感を感じるんですよね。親しみやすいという表現をすればいいんでしょうか。

 まあそんな感じですが、70年代アメリカン・ロックの凄さを垣間見ることができます。時を越えた素晴らしいアルバムだと思いますよ。夏はやっぱりドゥービーですね。

Toulouse Street / The Doobie Brothers (1972)