$あれも聴きたいこれも聴きたい-サザンオールスターズ サザンのCDを持っていないというのも何だなあと常々思っていたので、バーゲンで買ったのがこのベスト盤です。買ったものの長い間聴いていなかったのですが、故郷に帰省するこの機会に聴こうと持ってきました。私の故郷は海の近くですし。

 夏の海の思い出とくればサザンです。考えてみれば、私にはサザンに青春の具体的な思い出が込められているということは全くないのですが、一般的にサザンと結びついていると思われる一こまを自分も経験したことがあるような気がしてくるから不思議です。同時代の日本を生きている者として、集団的無意識に訴えかけるものがあるのでしょうね。

 このサザンのベスト盤は発売と同時にミリオン・セラーとなった上に、サザン関係で何か動きがあるたびにチャートインしています。一番近いのは2008年だそうです。「TSUNAMI」で一つステージが進んだサザンですが、それ以前のものはほぼこのアルバムで網羅されています。

 よく言われるように、「勝手にシンドバッド」でデビューした彼らはコミック・バンドだと思われていました。そういう売り出し戦略でもあったのでしょうが、同時期にデビューしたツイストが本格派ロック・バンドでサザンはおちゃらけだと扱われていました。

 みんなが馬鹿にする中で、ミュージック・マガジンの中村とうようさんだけはサザンを絶賛していました。彼の凄さを思い知らせる忘れられない出来事です。合掌。

 閑話休題。一方、今やサザンは国民的なバンドですので、芸能マスコミは今度は崇め奉っているような扱いになっています。見下すか見上げるか、日本の芸能マスコミには対等という言葉はないんでしょうか。何だかなあと思います。

 さて、サザンですが、サザンはサザン・ロック、オールスターズはラテンのファニア・オールスターズから名前をとったということです。ラテンはわからないでもないですが、サザン・ロックは盲点でした。確かにハードなロックもやってますもんね。

 ともかく音楽的なごった煮状態が彼らの真骨頂です。デビュー当時からやりたい放題やっていたと思っていたのですが、こうしてベスト盤を聴いてみると、あれでもずいぶん抑えられていたことがわかります。成功して地位を築いた後は、やりたい放題の度が進んで大変なことになっていますね。

 昭和歌謡的というかグループサウンズ的な「チャコの海岸物語」や「そんなヒロシに騙されて」のような曲もあれば、ロックな「シュラバ★ラ★バンバ」もあるし、ファンキーだったり、民族音楽だったりと変幻自在です。ミリオンセラーになった「愛の言霊」なんて凄いですね。彼らの底力を感じます。

 音楽的な道行では、よく小林武史とのコラボレーションが取りざたされます。確かにバンド的じゃなくなったような感じで好き嫌いが分かれるかもしれませんね。なかなか難しいものです。

 桑田佳祐さんには「ただの歌詩じゃねえかこんなもん」という著作があったと思いますが、語呂がよくて洋楽的な歌詞は革命的でした。当初はずいぶん拒否反応を示した人もいましたね。昔話でした。

 我が家には全く縁のないバンドですが、さすがに日本一のバンドです。大いに敬意を払いたいと思いました。

海のYeah!! / サザンオールスターズ (1998)

初音ミク・バージョンでどうぞ。