$あれも聴きたいこれも聴きたい-Bad Company 2
 大成功したデビュー・アルバムから1年足らずで発表されたバッド・カンパニーのセカンド・アルバム「ストレート・シューター」です。あまりそれらしくありませんけれども、ファースト・アルバム同様にヒプノシスがジャケットを手掛けています。

 このアルバムを発表する前、マチ・ロジャースと結婚していたポール・ロジャースは来日した際に、テレビ・ドラマ「夜明けの刑事」の挿入歌を録音しています。テレビから流れてきたこの曲はポールの歌の凄味を十二分に日本のお茶の間に知らしめたのでした。

 本作品にはその曲は収録されていませんけれども、そんな事情もこれあり、日本でもバッド・カンパニーはそれなりに認知され、その最新アルバムとなる本作品も結構な話題を集めました。我が家にも姉が買った「グッド・ラヴィン」のシングルがやってきました。

 デビュー・アルバムがメガ・ヒットになりましたから、メンバーはノリに乗っていたのでしょう。第二弾となる本作品には、前作の路線を踏襲した小気味のいいポップなブルース・ロックが並んでいます。まとまりという点では前作をしのぐとも言えます。

 しかし、英米でトップ10入りするヒットにはなったものの、前作ほどは売れませんでした。まあサプライズがないとメガ・ヒットは生まれないでしょうから、そのレベルで比較してもしょうがないです。前作よりも、この作品の方が好きだという人はそれこそ山ほどいますし。

 この作品には、アコースティックな趣のある「シューティング・スター」や、ストリングスを大胆に導入した「ウィープ・ノー・モア」、カントリー風の出だしで始まるアメリカン・テイスト満載の「フィール・ライク・メイキン・ラヴ」、モータウン風味の「アンナ」など全8曲が収められています

 結構バラエティに富んでいるのですが、全体を通して聴くと、まとまりがあり過ぎて、どうしても小粒感が漂ってしまいます。前作はそれこそざらざらしてましたから。どれもこれもいい曲なんですけれども、前作にやられた人々には少し物足りない感じを残してしまいました。

 それでも繰り返しますが、曲はいいし、ポール・ロジャースのボーカルは迫力を増しています。この時、まだ25歳。どんだけ凄い人なんでしょう。サウンドは、1970年代ロックとはこういうものだという定義に使えます。それほど聴きこんでいなくても懐かしく思えるはずです。

 とにかく凄いボーカルの脇を固める音はとてもシンプルです。ミック・ラルフスのギターも泥臭く、サイモン・カークのタメをきかせたドラム、引きずるようなボズ・バレルのベースと、どれをとってもドがつくシンプルさ。1970年代の空気まで聞こえてきそうです。

 それに、ストリングス。ライナーで立川芳雄さんが「ほとんど違和感を感じさせない」と書いていらっしゃいますが、私にはとってつけたような感じがしてなりません。いかにも1970年代だなあと思います。そんなところにも強烈な1970年代臭を感じます。

 「豪快かつ華麗なるスーパー・ヘヴィー・サウンド!!ブリティッシュ・ロック武者、バッド・カンパニー!」の惹句が輝く、ロックの教科書的なアルバムです。こういうサウンドに接すると無条件で胸が熱くなります。スーパー・ヒットしていないところも愛おしいです。

*2012年7月4日の記事を書き直しました。

Straight Shooter / Bad Company (1975 Swan Song)



Songs:
01. Good Lovin' Gone Bad
02. Feel Like Makin' Love
03. Weep No More
04. Shooting Star
05. Deal With The Preacher
06. Wild Fire Woman
07. Anna
08. Call On Me

Personnel:
Paul Rodgers : vocal
Mick Ralphs : guitar
Boz Burrell : bass
Simon Kirke : drums
***
Jimmu Horowitz : strings