![あれも聴きたいこれも聴きたい-La Dusseldorf](https://stat.ameba.jp/user_images/20120512/17/memeren3/fa/9d/j/t02000201_0200020111968847529.jpg?caw=800)
ラ・デュッセルドルフは、都会派クラウス・ディンガーがノイ!解散後に結成したバンドです。バンド名がもうそのものずばりです。デュッセルドルフには行ったことがありませんが、世界地理ではとても有名な町です。日本人も多いようですが、人口60万人くらいと、大都会と言うには小さい。インドだと小都市です。
しかし、デュッセルドルフにはとても都会的なイメージがあります。ネアンデルタールはデュッセルドルフ郊外ですから、長い長い歴史の賜物かもしれませんね。
それはさておき、都市の名前を冠したバンドを始めたクラウスさんは、ここではドラムを叩いているとはクレジットされていません。ギターとボーカルに専念しています。彼の編み出したアパッチ・ビートは、ここでは弟のトーマスともう一人のメンバー、ハンス・ランペが叩いているようです。
一曲目の「デュッセルドルフ」から、そのビートがさく裂していますが、やはりノイ!の時とは少し違います。同じようなビートなのですが、スピードも速いし、高めの音になっています。若い。監修お兄ちゃんで、弟が演奏しているというビートです。
そんなビートに乗せて、クラウスが自由気ままにギターを弾いて歌を歌っています。ミニマルなキーボードも入って、パンクですよ、パンク。13分に及ぶ名刺代わりの一曲です。
ところが二曲目に「ラ・デュッセルドルフ」という本当に名刺となる曲が出てきます。こちらはより短く、さらにパンクな曲です。冒頭に引っ張ってきているのは、おそらくサッカー場の観衆の声でしょう。一曲目は空港のアナウンスだと思います。
このあたりは、彼らを代表するサウンドで、「コズミック・サーフ・パンク・サウンド」と形容されます。言い得て妙といいますか、そのまんまといいますか。軽やかな能天気サウンドです。
私が一番好きなのは、実は3曲目の「シルバー・クラウド」です。ゆったりめのアパッチ・ビートとリズム・ギターにのせて、キーボードによるメロディーがかぶさるところはとても気持ちがいいものです。彼らのビートは突っ走るばかりではないんです。
そして最後は「タイム」という曲で締めくくります。この曲もゆるりとしたアパッチ・ビートで、淡い処理をしたボーカルがしっとりと歌います。そして若い二人が紡ぐビートはここでもやはり力強いです。
全部で30分強と収録時間の短いアルバムですが、まずは一発デビュー盤を出すぞ、という意気込みが感じられますし、とてもよくまとまった秀作だと思います。
しかし、このアルバム、発売当時はほとんど目にしたことのない幻のアルバムでした。見かけても値段が高くてねえ。私がこれを入手したのはCD化後のことでした。
La Düsseldorf / La Düsseldorf (1976)