あれも聴きたいこれも聴きたい-Devo 本日はお日柄もよろしく、上野公園は絶好のお花見日和でした。そんな浮かれた日には、我らがトリック・スター、ディーヴォが似合います。

 彼らのユーモラスな活動は当時衝撃を持って受け止められておりました。初めて見た時は単に大笑いしましたが、語られ方は凄かったので、あまり笑ってはいけないのかと不安になったものです。

 名前の由来は彼らの哲学にあります。曰く、我々は人間か?いやディーヴォだ。現代の人間は進歩しているのではなく、退化し始めているのだ、というものです。ディーヴォはデ・エヴォリューションの略語です。

 この思想は、たとえば経済成長至上主義から国民総幸福度指数を重視する思想などとも親和性が高いものだと思います。それを70年代の初めにバンドを結成して以来、訴えているわけですから、立派なものです。

 彼らは結成が72年と言いますから、パンクなどよりもずっと前から存在します。しかし、世に知られるようになったのはパンク以降の時代ですから、ポスト・パンク、ニュー・ウェーブの世界の住人のように思われています。間違いではないのですが、当時から時間がたってしまえば、彼らのユニークな立ち位置がひしひしと感じられてきます。孤高のバンドだったと言っていいと思います。

 ビデオを見て頂くと彼らのユニークな姿が分かります。当時からその奇天烈なセンスは飛びぬけていました。ストーンズの「サティスファクション」のカバーが最も有名ですが、ミック・ジャガーは大喜びだったそうです。

 痙攣という言葉がぴったりです。美は痙攣的であると言ったのはブルトンだったと思いますが、まさしく痙攣の美学がここにはあります。確かブルトンですよね。今日は酔っぱらってるので、明日訂正するかもしれませんが。

 タテノリの痙攣ビートに、すちゃらかした金属的な音、奇妙なギターのリフ、苛ちなボーカルと、おかしなおかしなポップなロックになっています。総幸福度指数が異様に高いと思います。

 ところで、このアルバムが彼らのメジャー・デビューになりますが、常に論争の的です。これはブライアン・イーノのプロデュースですが、それ以前に別のアレンジで出されていた曲が多く含まれています。そちらはより素人っぽい生々しさがあって、アヴァンギャルド感はより強いです。ですから、このプロデュースは是か非か、よく議論されるわけです。

 私は甲乙つけがたいと思っています。ライナーノーツを書いているサエキけんぞう氏はイーノのプロデュースがなければヒットしなかっただろうと冷静な分析をされています。おそらくそうでしょう。これは妙な洗練がまぶしい作品に仕上がっているんです。

Q:Are We Not Men? A:We Are Devo! / Devo (1978)