あれも聴きたいこれも聴きたい-Calmando Qual アラモード・マガジンのオムニバスCDをご紹介した際に、軽く「彼らのアルバムも聴いてみたい」などと書いた癖に、全く聴いていないことを気に病んでおりました。私は真面目なんです。

 というわけで、ふと目に入ったカルマンド・クヴァールの最新CDを買ってみました。残念ながらフル・アルバムではなくて、CDマキシでした。全4曲入りで、1曲目と2曲目は一つながりですから、まあ3曲と言ってもいいかもしれません。

 このバンドは、アラモード・マガジンCDの第3巻「デコラティブ・ミュージック・アート」に収録されていた人たちです。そこではディズニー・ランドのホーンテッド・マンションの案内人のような楽曲が収録されていて、大そう面白く聴いたものでした。

 彼らは2001年にボーカルのヒビキとギターのタクの二人によって結成されました。タクはオート・モッドを始め、数々のバンドに在籍したことがあるそうですから、このシーンの顔でしょうか。公式サイトによれば、2006年にドイツのイベント「アンフィフェスティバル」で2000人の聴衆を前にアグレッシブなステージを魅せるなどヨーロッパでも活躍しているそうです。

 これまでにアルバム3枚を初め、多くの音源を発表してきています。2007年にはバンド名をトゥイステッド・クロックに変更してメジャーからデビュー、2009年6月に元の名前に戻って活動を再開、このマキシCDは完全限定1000枚で2011年7月に発売されたものです。

 「カーテンの隙間 覗き込む ヘドロの目玉 秘密を見てるよ...」と恐ろしい歌詞を引用して惹句にした帯によれば、「ゴシックホラーの世界から舞い戻り、結成十年目にしてカルマンドクヴァール式暗黒ロックの原点をスタイリッシュに表現したシュールな世界とリアリティのミクスチャー」な作品です。

 ジャケットを見て頂ければ一目瞭然、ゴシック・ロックな世界です。「ゴシックホラーの世界から舞い戻り」とありますが、どこへ舞い戻ったでしょうか。前の作品を聴いていないだけによく分からないところがありますが、以前はよりマリリン・マンソン風だったようですから、少し大人しくなったということなのかもしれません。

 収められた楽曲は、「4:9」、「ネガ×ネガ×ネガ」、「地獄シェフ」に「偽りと悲しみの間で」の4曲です。彼らのバンド編成は、ボーカル、ギター、ベース、ドラムスととてもシンプルなもので、そこからヘビーなヴィジュアル系のロックを展開します。

 ゴシックと言うともっと演劇的な音を想像しますが、彼らの音楽は比較的ストレートでヘビーなロックです。正統派な音楽ですから、メジャーなロック系Jポップ・バンドと比較してもそれほど違和感があるわけではありません。とても聴きやすい。

 ボーカルも含めて超絶技巧のバンドではありませんから、時にアマチュアっぽい。私としては、全編にわたってアラモードに入っていた「ゴースト・ハウス」のまるで演劇ノリを期待していたので、ちょっと残念ですが、デス・メタル的な要素やドリーム・シアター的プログレ・メタルな要素、パンクや歌謡曲が合わさったようなミクスチャー音楽は結構楽しめました。

 彼らのステージは、映像やライティングにもこだわって、オブジェクトや火を使ったパフォーマンスを見せるということですから、面白そうです。

Negative Mustard / Calmando Qual (2011)

3曲目に「地獄シェフ」が入っています。