あれも聴きたいこれも聴きたい-倉木麻衣07 2008年の元日に発売になったアルバムです。昔は元日にそんな商業活動をしてはいけなかったはずですが、最近はそんなことは関係なくなってしまいました。ちなみに元日は私の誕生日です。誕生日プレゼントだったんでしょうか。ありがたいことです。

 それはさておき、このアルバムは倉木麻衣の7枚目のアルバムになります。残念ながらセールスの方は今一つ奮わず、ベスト10入りを逃してしまいました。ファンの間では人気が高いアルバムなのに残念です。

 倉木麻衣はこのアルバムからノーザン・ミュージックにレーベルを移籍しました。以前はギザ・スタジオでしたね。といってもどちらもビーイングという勢力の大きな音楽制作会社のグループですから、あまり意味はないかもしれません。ちなみにビーイング最大のアーティストはB'sですね。

 ファンには人気が高いと書きましたが、ちょっとそう言い切れないかもしれません。相変わらず賛否両論があるようです。このアルバムでは、またニューヨークのサイバーサウンドやヨーコ・ブラックストーンが参加しているからでしょう。加えて、スウェーデンやイギリス、それに韓国のアーティストも曲作りや編曲で参加しています。

 「ワン・フォー・ミー」を作曲した韓国のヨー・ヘジョンは冬ソナのテーマ曲をつくった人だそうです。そう言われれば、それっぽい気もします。倉木麻衣にぴったりのバラードです。彼女の歌い方は、以前とはちょっと変わってきました。これまで歌に感情を乗せるためのいろいろな工夫をしてきた彼女ですが、ここではちょっと演歌っぽい歌い方になっていて、それがなかなか様になっています。

 全体に歌い方が艶っぽくなってきていて、アマゾンのカスタマー・レビューに「歌唱力がついた」と言う意見が多くなったことと平仄があっています。やっぱりこういう歌い方が好まれるんですね。私は初期のすっとした歌も好きですが、これはこれでありだと思います。

 今回も3曲のシングル曲を含んでいますが、アルバムのみの収録曲とのバランスもいいんじゃないかと思います。今回のアルバム曲は、R&B路線が復活したと言われています。新しい外国のサウンド・チームは容赦ない洋楽で攻めてきていますし、久々のヨーコさんもR&Bばりばりです。それに対峙して、堂々と戦うお姫様。かっこいいですね。

 一方で、演歌の領域に踏み込みそうな歌謡曲っぽい曲もあります。R&B路線と歌謡曲路線が微妙に交錯して、これまでのアルバムの集大成的な作品になっているのだと思います。声が深くなっていますし、歌い方にも迷いがなくなりました。こういうアルバムならいくらでもつくれるぞ、という安定感が増してきた感じです。

 安心して聴いていられるアルバムなんですが、その分落ち着いてしまって、特にファンでない人を強引に振り向かせる力強さに欠けてしまったのかもしれません。それが売り上げに影響しているんでしょう。難しいですね。 

One Life / 倉木麻衣 (2008)