あれも聴きたいこれも聴きたい-倉木麻衣04 今日は暖かい日になりました。昨日は寒かったのですが、さすがに3月ですね。

 昨日に続いて今日も倉木麻衣、これは4枚目のアルバムです。まずジャケットが変わりました。威圧的な雰囲気から笑顔に近づいてきました。ブックレットの写真は笑顔満開です。それと海です。裏ジャケットは黄昏の海ですが、ブックレットは真っ青な海。

 相変わらずスカートをはかない彼女ですが、20歳を越えた余裕が随所にみられます。シングル盤では1位をとることがなくなりましたが、アルバムはデビュー作以来連続となる1位を獲得して、しっかりと底堅い活躍となりました。特大ヒットよりも20歳にふさわしいと思います。余裕ですね。

 さて、このアルバムでは、ほとんど全曲がデビュー・アルバムを手掛けたニューヨークのプロダクション・グループ、サイバーサウンドの手になるトラックとなりました。やはりいいですね。空気感が違うといいますか、グルーヴが違います。彼女の歌にぴったり寄り添っていて、とても上品な洋楽サウンドが楽しめます。倉木麻衣はこうでなくちゃねえ、と思いました。

 今作もシングル曲が4曲。今回はタイトルは英語ながら、和物と言える「タイム・アフター・タイム」や「風のららら」といった相変わらず手堅い曲に加えて、アタックの強さが耳を引くR&Bチューン「キッス」もシングル・カットされているのが目を惹きます。

 アルバムにだけ収録された曲では、今回も種々冒険に挑んでいます。特にサイバーサウンドが作曲にも手を染めた楽曲群ですね。それは、まさかのラテン・チューン「ミ・コラソン」。ここでは大学の第二外国語スペイン語を駆使しています。それから「セイム」と「ジャスト・ア・リトル・ビット」の2曲。後者はまるで70年代のソウルのようだし、前者はディープなR&Bっぽい曲です。

 サイバーサウンドはサウンド作りは素晴らしいですが、楽曲はあまり倉木麻衣の魅力を引き出すには至っていないかなと思います。くっきりしたメロディーではないリズムだけのラインを歌うのはまだちょっと苦しいかもしれません。

 やはり、このアルバムで最も素晴らしいのは、台湾の歌姫、孫燕姿とのデュエットソング、「トゥナイト・アイ・フィール・クロース・トゥー・ユー」ですね。この曲は本当に素晴らしい。全曲英語詞で歌い上げる美しいメロディーは本当に素晴らしい。いや、本当に素晴らしい。

 前作が台湾のヒット・チャートで1位になったこともあって、孫燕姿から申し出があったということですが、これは成功ですね。孫燕姿の声はちょっとハスキーで、倉木麻衣と見事な対照をなしていて、がっぷり四つに組んだ格好です。孫燕姿のアルバムも聴いてみようという気になりました。もう10年近くたつのに、まだ実現していないんですけどね。

 というわけで、このアルバムはジャケット、というかブックレットの写真のように、明るく開放的で心地よい作品に仕上がりました。デビュー・アルバムの初心の魅力に対して、若々しいながらも余裕の出てきた彼女の魅力がまたまぶしい作品です。

If I Believe / 倉木麻衣 (2003)