あれも聴きたいこれも聴きたい-倉木麻衣01 来月、東京国際フォーラムに倉木麻衣のコンサートを見に行きます。初めてのことです。お作法が分からないのが不安ですが、アイドルのコンサートでも腕組みをしてじっと歌に聴き入る「地蔵」と呼ばれる人がいるそうですから、おそらく大丈夫でしょう。後ろの方ですし。

 そういうわけでコンサートに向けて、盛り上がってまいりましょう。倉木麻衣のCDはベストを除くと全部持っていますから。では行きますよ。まずはデビュー・アルバムです。いや、これはデビューじゃないという人もいるかもしれません。全米デビュー盤はまたこんど。

 久しぶりに聴きますと、やはり若いですね。この時、彼女はまだ17歳。声も歌い方もやっぱり若い。若さの魅力があふれています。

 彼女の日本でのデビューは、宇多田ヒカルと同時期だったせいで、宇多田クローンという言われなき非難を受けたものです。聴いてみると全然違いますから、若い人にはなんでそんなことを言われたのか分からないでしょう。日本でのデビュー曲「ラヴ・デイ・アフター・トゥモロウ」のPVで椅子に座っていたところが似ていたんですね。

 ほとんど完璧なプロダクション・チームの唯一の失策だと思います。狙った失敗か、計算違いか、どちらでしょうか。何と言っても彼女のチームは行き届いたメディア戦略で、見事にキャラクター勝負に入らず、ただ歌を聴かせることに成功していますから。

 写真やビデオもすごくコントロールされています。ライトのあて方やポージング、すべてがベストで素材を120%際立たせています。愛にあふれたチームです。

 このアルバムは、デビュー作にして到達点でもあります。売り上げは350万枚を超えて、2000年の年間チャートの1位、歴代アルバム売り上げ9位という凄い数字を残しています。シングル・カットされた曲も、大ヒットしました。結局、彼女の作品の中では最大のヒットとなっています。

 最初に聴いた時には、そのサウンドに驚きました。洋楽テイストにあふれたトラックは凄く新鮮に感じたものでした。時代の先を走るという感じではありませんが、Jポップにはなかなかないグルーブだったと思います。

 若々しいボーカルも透明感に溢れています。声質もいいですよね。芯が強いきれいな声だと思います。意外とR&B向き。ポップな歌からヒップホップ調まで、いろいろありますが、統一感のあるアルバム制作になりました。

 難を言えば、歌詞ですか。悪くはありませんが、歳の違いは如何ともしがたい。あとは英語の発音がちょっと気になります。まあ難点もないとね。

 私は、「シークレット・オブ・マイ・ハート」が一番好きです。♪大切な君と過ごすこのじ~か~ん~♪のところの歌い方がいいですね。ぞくぞくします。

 ある意味、Jポップの一つの到達点だったと今でも思っています。べたな歌い上げにならないR&B、感情過多にならない清々しさ、そんなありそうでなかったタイプの歌手だと思います。

Delicious Way / 倉木麻衣 (2000)