あれも聴きたいこれも聴きたい-Tedeschi Trucks Band もの凄く久しぶりにロックのコンサートに行ってきました。場所は渋谷公会堂、演じるはテデスキ・トラックス・バンド。いやあ、素晴らしかったです。

 テデスキ・トラックス・バンドは、天才ギタリストの誉れ高いデレク・トラックスと、ギターもうまけりゃ歌も凄いスーザン・テデスキ夫妻を中心とするバンドです。それぞれも活躍していますが、昨年、夫婦でもバンドを始めて、このデビュー作を発表、初の単独来日公演の最終日が今日でした。

 ブルースをベースにソウルやカントリーの影響も感じさせるロック、あのオールマン・ブラザーズ・バンドの流れを汲む、アメリカ南部の大らかな大きなロックです。そもそもデレク・トラックスは、オールマンズのオリジナル・メンバーであるブッチ・トラックスの甥だと言いますし、今回、ベースで来日しているオテル・バーブリッジとともに新生オールマンズの一員です。デュエイン・オールマンの生まれ変わりと言われています。

 去年からこのアルバムを愛聴していまして、そんな折、ふと目に留まったのが来日公演のお知らせ。これは行くしかないと思い、行ってきたわけです。控えめに二階席の後ろから4番目くらい。でも、結構年齢層は高くて、私の隣の女性は明らかに私よりも年上でした。それに立ち上がる人が少なかったので、ゆっくり見られてよかったです。

 ライブの曲順は毎回変わっていて、この日の冒頭は真夜中のカーボーイのテーマ曲「エヴリバディズ・トーキン」でした(よね?)。このバンド自体はまだデビューしたてですが、二人ともキャリアは長いので、このアルバムを全部再現するなんていうことでもなく、いろんな曲をやっていました。

 中にはビートルズの「ホワイ・ドント・ウィー・ドゥー・イット・イン・ザ・ロード」もはさんでました。達者な人たちですから、何をやってもきまります。

 最終日の今日は、アンコール前のラストに「バウンド・フォー・グローリー」、アンコールに「ミッドナイト・イン・ハーレム」とこのアルバムからの名曲を最後の方に持ってきました。涙が出るほどかっこよかったです。

 ど迫力のツイン・ドラムに、デレクとスーザンのギター、ベース、キーボード、3人のホーン、コーラス2人の計11人は、それぞれがソロで見せ場を作っていましたし、とにかくバンド全体が一つになって最高のグルーブを醸し出していました。凄かったですよ。夫婦仲もよさそうです。

 このバンドは、アメリカのサザン・ロックの現在形です。その精神と言いますか、バンドは家族という生き方がそっくり受け継がれています。心が一つになっていて、一人一人を足して十倍にした以上の音楽になるわけですよね。現代最高峰のバンドの一つでしょう。

 ライブの興奮が冷めやらないのですが、このアルバムも素晴らしいです。ライブの迫力はありませんが、その分、落ち着いてスーザンのボーカルやデレクのスライド・ギターを堪能することができます。ゆったりとしたリズムに乗せて、ちょっとハスキーなスーザンの声が響き、聴く人を包み込んで持ち上げていくようなデレクのギターが鳴ります。すでにクラシックの面持ちです。

 何でしょうか、全くまとまりませんが、まあとにかく今日はすごかったんです。お客さんも帰り道で幸せだったと語り合う人が多かったです。

Revelator / Tedeschi Trucks Band (2011)