あれも聴きたいこれも聴きたい-Perfume03 タイトルに△をいれようと思ったんですが、彼女たちはわざわざこの形を外していると聞いて、文字にすることにしました。この△だとリーダーが一人いるようになってしまうからということです。こだわりですね。

 パフュームの三枚目は三角形のオブジェを使ったジャケットになっています。このジャケ写は初回限定盤のものではなく通常盤です。オブジェはこちらにはっきり出ていますね。こういうオブジェを見るとすぐに「2001年宇宙の旅」のモノリスやレッド・ツェッペリンの「プレゼンス」を思い出してしまうのが、アラフィフ世代の性でしょうか。

 この作品には、8分を超える「エッジ」やパーカッションがかっこいい「スピード・オブ・サウンド」なんていう実験的な曲もある一方で、全体にJポップのスタンダードに近い曲が多くなってきました。サウンドというより、メロディーと歌を中心に据えた曲が多いということを言っているだけなのかもしれませんが。

 前作の後、どんな展開があるかと思いましたが、まずは無難にまとまっていてほっとしました。妙に先端を狙うわけでもなく、パフュームの魅力を最大限に出すことだけを考えたような出来になっています。なかなか立派です。

 歌詞もこなれてきました。ところどころメロディーと対になって耳に残る部分があります。主張しすぎない歌詞というのはとても素敵です。韻を踏んでいてとても音楽的ですし、歌詞のもつ意味が邪魔にならない。いい感じです。

 ところで、彼女たちのボーカルはコンピューター処理されています。これは歌謡界ではタブーとされてきたことです。やはり否定的な意見も多いですよね。私も最初はどうかなと思ったものですが、実際に聴いてみると、三人の歌声を生かすような処理がされているので、さほど違和感を感じません。むしろ好きかも。

 大たい普通のアイドル歌手のCDでも、ボーカルを微妙に処理しているものが多いですよね。あれは嫌です。売れれば売れるほど処理も少なくなりますが、デビュー・シングルなんて誰のものを聴いても同じような声に聴こえます。それに比べれば、パフュームはずっと潔い。おおっぴらに処理しているわけですから、むしろ重い責任を感じて、まじめにやっているところがよく分かります。

 彼女たちはアイドルにしては大人っぽい。子どもっぽく作り上げるのが王道のようですが、そうはなっていない。パフィーなんかに近いのかもしれません。ライブでの広島弁全開トークなども媚びてないですしね。だからAKBなどとはかぶらない。面白いアイドルですね。

Triangle / Perfume (2009)