あれも聴きたいこれも聴きたい-Perfume パッパッパッパッパッパパフュームのデビュー・アルバムです。デビューにして「コンプリート・ベスト」となっているところが、彼女たちの下積みの長さを物語っていて涙が出ます。

 私が初めてパフュームを見たのはタモリ倶楽部のイケメン坊主の回でした。もちろん歌なしです。肩の力の抜けた感じで、タモリ倶楽部の雰囲気にぴったりでした。自然体でしたね。いっぺんにファンになったというわけではありませんが、どこか引っ掛かりを感じました。

 そうこうするうちに秋葉原を歩いていると、どうやらパフュームがキテるらしいという空気がむんむんと流れてきていたので、ついふらふらと買ってしまったのがこのCDです。初回生産限定盤ですよ。胸をはっていいでしょうか。

 驚きましたね。テクノです。テクノ歌謡ですよ。かつてYMOの頃に歌謡界もテクノで盛り上がったことがありました。かれこれ四半世紀も前の話です。とても懐かしいです。今やコンピューターを使わないJポップは考えられないのに、こういうテクノ・ポップはありませんでしたからね。

 パフュームは、広島から上京して、東京でインディーズからメジャーへと階段を上ります。東京ではテクノ歌謡風アイドルを目指して、中田ヤスタカが楽曲を担当、そのプロデュースのもと、「レトロなテクノ路線」から出発して、「近未来型テクノ・ポップ・ユニット」に進化を遂げます。

 そうして、のちに「ポリリズム」で大ブレイクするわけですが、このCDはその前史を刻んでいます。まだ、レトロな感じのピコピコしたサウンドが随所にみられます。それにボーカルの処理があまりない曲もあって、テクノ歌謡の匂いが色濃いです。

 もちろんハウスからテクノを経た時代ですから、そっち系のサウンドになっているので、実際に昔のテクノ歌謡と比べると全然違います。かっこいいサウンドに、かわいらしいボーカルがのって、とても楽しいアルバムに仕上がってますから、違ったって全然かまいません。素敵です。

 ただ、歌詞にリニアモーターカーとか、コンピューターとかたくさん出てきますが、それって四半世紀前の感性ではないでしょうか。パロディーにしても貧相な気がします。もはや近未来はピコピコしていないんだと思うんです。

 そんなわけで、まだまだはじけ方が小さいわけですが、パフュームのデビュー盤として歴史的な価値があるアルバムだといえるでしょう。

Complete Best / Perfume (2007)