あれも聴きたいこれも聴きたい-AliceCooper05 学校×反抗=ロックというのは鉄板方程式でありましょう。高校を卒業してからもう30年以上経っている私ですら、どこか胸を躍らせる方程式です。

 学校をテーマにしたロックの名曲として、真っ先に浮かぶのがこの「スクールズ・アウト」です。もちろん英米で大ヒットしました。一過性のヒットではなくて、もはや定番中の定番、学園青春ものでは繰り返しこの歌が使われます。「学校は夏でお休み、学校は永遠にお休み」のサビは永遠です。

 このジャケットを見てください。学校の机です。ピンとこない人も多いでしょうが、アラフィフ世代には懐かしいタイプの机です。天板が蓋になっていて開くんです。小学校3年くらいで、今も学校で使われているタイプに変わりましたが、この机のことはよく覚えています。

 それこそ長年の使いまわしで半端ない個性に染め上げられていて、机と児童が一体化していました。かわいい女の子の机はやっぱり可愛かったですよ。日本のものは蓋が二つに分かれていて、右側は小さな蓋でした。何のためか分かりますか?硯を入れるんです。ああ懐かしい。

 この紙ジャケ再発盤は素晴らしい再現度です。オリジナルと同様に、蓋を開けると紙パンティーに包まれたCDが出てきます。米国オリジナルではいろんな色があったようですが、今回の再発は白一色です。しかし、小さいのにちゃんとゴムも入っています。ワーナーさんに拍手!

 この作品は、アリスの出世作となり、シングルに引っ張られるようにアルバムもチャートを駆け上り、トップ10ヒットとなりました。タイトル曲以外にも学校をテーマにした曲がたくさん入っています。前作までの悪魔路線から、ターゲットをティーンに絞ったことは大成功でした。

 本人も「ミュージカルのように作る」と言っているように、もともと一曲一曲が劇的な構成を持っていましたが、このアルバムでは、そっち方面にさらに磨きがかかります。たとえば「ガター・キャット対ジェット」という曲では、「ウェスト・サイド・ストーリー」のフレーズがそのまま出てきます。ちゃんと作曲者のバーンスタインのクレジットもあります。そもそもジェット団ですし。

 コンセプト・アルバムのようにとらえられますが、各楽曲は独立していて、それぞれにストーリーがあります。いろんな主人公になりきるアリス・クーパーということです。前からその傾向はありますが、ここではその主人公がティーンなんですね。そこが成功の秘訣かと。

 サウンドも劇的な構成が増えてきて、キーボードがより活躍します。作りこんだ音になってきていて、ハード・ロックではありますが、だんだんバンド臭が希薄になってきました。絶頂ではありますが、バンドとしては波乱が予見される作品でしょうか。

School's Out / Alice Cooper (1972)