あれも聴きたいこれも聴きたい-BayCityRollers 明けましておめでとうございます。皆さんにとって幸せな一年になりますように。

 というわけで、新年一発目はローラーズです。ポップは強い。新年早々しみじみそう思ったんです。彼らが活躍してからもう30年以上経つのに、ベイ・シティー・ローラーズの音楽は今なお結構な頻度であちこちから聴こえてきます。

 今はどうだか知りませんが、90年代のイギリスでは、ゲイリー・グリッターたちと一緒にツアーしていました。懐メロ・ツアーです。彼らが活躍していた時期には、音楽メディアは一部を除いてローラーズを揶揄しかしていませんでしたが、メジャーな世界では普通にメジャーだったということなのでしょう。恐らくローラーズを経験した人々が死に絶えるまで、彼らは安泰でしょう。

 このCDは75年にCBSソニーから発売された後、78年に東芝から曲を追加して発売されたLPを復刻したもので、日本独自の企画盤です。高校時代、友人が持っていたのを借りて聴きました。さだまさししか聴かない友人でしたが、ローラーズはそんな彼をも虜にしたのでした。

 とても愛に溢れた企画盤です。ローラーズのデビュー・シングルの「朝まで踊ろう」から「恋をちょっぴり」までのシングル曲のA面とB面を律義に並べたものに、数曲足した作品で、アルバム未収録のB面曲を丁寧に拾ったところに価値があります。

 ベスト盤ではありますが、「サタデイ・ナイト」の全米1位バージョンや長らく「はなまるカフェ」のオープニングに使われていた「二人だけのデート」などの超代表曲は入っていません。大ブレーク直前までなんですね。

 改めて聴いてみますと、71年にデビューした頃は、結構普通のロック・バンドです。プロダクション仕様になるのはしばらくしてからですね。スレイドなどと同世代ですからグラム・ロックを意識していたのは確実で、実際、本国イギリスではグラムと呼ばれることもあります。日本ではローラーズが一つのカテゴリーを作ってしまったので、むしろグラム・ロックの捉え方が英国とは変ってしまったとも言えましょう。

 途中入社のレスリー・マッコーエンのボーカルはとても魅力的です。とても非凡な声だと思います。この作品には初代ノビー・クラークが唄う「サタデイ・ナイト」が収められていますが、レスリーの全米1位バージョンには全く敵いません。ローラーズ・サウンドが古びないのは、きっとこの声のせいだと思います。そして、彼の声を中心とするコーラス・ワークが素晴らしい。

 とりわけ、大ヒットした「バイ・バイ・ベイビー」は素晴らしいと思います。テイク・ザットとかバックストリート・ボーイズなどのボーイズ・グループの先祖の一つだと言えると思います。

 実は私はこの作品にしか収められていない「バイ・バイ・ベイビー」のB面曲「愛は君だけに」が大好きなんです。ですからローラーズで一枚というと必然的にこれになる。甘い甘いバラードで、どうという曲でもないのですが、何故か私のツボにはまりました。忘れられない曲なんです。でも一般受けはしないのでしょうね、ここでしか聴けません。

 この曲を初め、メンバーが作った曲がなかなか素晴らしいです。演奏できないとか、散々な言われ方をしていましたが、なかなかどうして才能のある人々でした。

Early Collection / Bay City Rollers (1978)