あれも聴きたいこれも聴きたい-JuanHidalgo 今朝、某カード会社の謝恩セールに行ってきました。先着で粗品進呈だったので、粗品目当てと思われないよう、少し遅い時間に行ったのですが、そこまで気にしていながら、結局ワイシャツをオーダーしただけなので、結果的に手ぶらで粗品だけ持って帰ることになりました。見事に粗品だけもらいに来た残念なおっさんになり下がってしまいました。

 そんな残念な日は、高尚な音楽でも聴いて、自分を少しでも立派な人間だと思いたいという気になるものです。そんな不純な気持で現代音楽のCDを聴くことにしました。心のどこかにカッコつけてる感がありますね。

 ファン・ヒダルゴは1927年スペイン生まれの音楽家です。公式サイトによれば、アバンギャルドの精神を体現した人です。禅とマルセル・デュシャンに影響を受けていて、日本の具体やアメリカのフルクサスなどと共鳴する活動をしてきました。

 私は特にこの人を知っているわけではなく、このCDはレーベル買いです。イタリアのレーベル、クランプスのムジカ・ノヴァ・シリーズの一作だから買ったんです。クランプスは、前衛的なロック、フリー・ミュージック、そして現代音楽と、いずれも先鋭的な音楽を世に送り出して、信頼度が高いんです。

 この作品は、全部で6曲。最初がチェレスタの独奏、次がピアノとの二重奏、次いでチェロやら何やらが一つずつ加わって、最後は六重奏となります。ありがちなアイデアですが、これを実現するには相当な自信が必要です。芸術音楽ならではですね。

 チェレスタはド、レ、ミ、ファ、ソの五音のみ。楽譜は数字で書いてあります。延々とこの音からなるフレーズが続きます。反復ではありません。円周率みたいなもんです。飽きるかと思いきや、これが面白い。ちょっとロックン・ロールな感じもしてきます。

 タイトルはマルセル・デュシャンの変名です。ジャケ写がセラヴィに扮したデュシャンの写真です。「エロス、セ・ラ・ヴィ」と読むのだそうで、エロスこそ人生というほどの意味です。所詮、名前ですから他の読み方もあるようです。まことにデュシャンらしい。

 全体に、結構、楽しい音です。私はサン・ラーをちょっと思い浮かべてしまいました。宇宙的!

Rrose Sélavy / Juan Hidalgo (1977)