あれも聴きたいこれも聴きたい-Peanuts 双子つながりで今日はザ・ピーナッツを聴いてみました。昨日はあまり双子の歌手というのが思い浮かばなかったんですが、ザ・ピーナッツの他にもこまどり姉妹、リンリン・ランラン、リリーズなど日本の歌謡界にはたくさんいましたね。

 このアルバムは彼女たちの何枚目かのベスト・アルバムになります。解散間近という時期を反映して、A面は74年の「気になる噂」から過去にさかのぼり、B面はデビュー曲の「可愛い花」から下ってくるという構成になっています。やっぱり「可愛い花」から「恋のフーガ」に至るB面が断然いいです。

 ザ・ピーナッツと言えば、シャボン玉ホリデーやザ・ヒットパレードです。クレージーキャッツやドリフターズとともにナベプロの黄金期を支えたグループですから、そこらあたりのバラエティと深く深く私の心に結びついています。小学校の頃ですからね、それは強烈です。

 しかし、考えてみれば小学校の頃にザ・ピーナッツの音楽を刷り込まれたのはよかったのかもしれません。アイドル全盛期に子ども時代を過ごしたというよりも何だかかっこいいと思いませんか。

 ザ・ピーナッツのドスの効いた声によるコーラス・ワークは素晴らしいです。双子であることの利点を徹底的に生かしたコーラスです。心の奥の方に積み上げられた幼少期の記憶を震わせるソウル歌謡です。モータウン級!

 改めてキャリアを俯瞰するアルバムを聴いてみますと、加瀬邦彦などの作家によるポップス路線回帰の前は、それこそ「ど」のつく歌謡曲路線だったり、初期の頃と随分と様相が違うことが分かります。最初期の「可愛い花」や「情熱の花」は洋楽カバーです。後者はベートーベンの「エリーゼのために」が元歌ですね。私としては、「情熱の花」あたりから、「恋のフーガ」に上り詰めるあたりがやっぱり好きです。

 まだ和製ポップスのスタイルが出来上がっておらず、曲作りや編曲は試行錯誤していることが分かります。何でもありの楽しげな高揚感がある演奏にのって二人のコーラスが弾けるさまは圧巻です。この後、歌謡界も落ち着いてきて、後期になると若い作家陣であったとしてもいかにもな歌謡ポップスになってしまいますね。

 やはり傑作は「恋のフーガ」でしょう。掛け合いも素晴らしいし、何と言ってもティンパニーです。ザ・ピーナッツは何度も再評価を繰り返されていますが、そろそろ決定版が出てもよさそうですね。

気になる噂 / ザ・ピーナッツ (1974)