あれも聴きたいこれも聴きたい-CaroleKing このアルバムはこれまでに世界中で2500万枚に売れています。100万枚程度だとファンが頑張れば届く、ということはAKBが教えてくれました。しかし1000万枚を超えるにはファンだけでは無理です。しかも70年代以前のアルバムだと15枚くらいしかありません。凄い数字です。

 この他にも、グラミー賞4部門制覇、全米15週連続1位、300週以上チャート・インとまあ凄い数字が並びます。シングル・カットされた「イッツ・トゥー・レイト」が5週連続1位、ジェームス・テイラーがカバーした「君の友だち」も1位になりました。

 キャロル・キングは最初の夫のゲリー・ゴフィンと組んでヒット・メーカーとして活躍した人です。ヒットは数多いですが、今日本で一番知られている曲と言えば「ロコ・モーション」でしょうね。そんな彼女が自分で歌い始めて、これが2枚目のアルバムです。他のアルバムもヒットしていますが、これだけ天文学的な売上を記録したアルバムがあるとどれも霞んでしまうところが残念です。

 昨日、デッドのところで書きましたが、ヒッピー幻想の終わりは音楽に如実に表れました。デッドばかりかディランもカントリー・タッチのアルバムを発表しますし、キャロルに代表されるシンガー・ソング・ライターの内省的な歌が人気を博します。

 日本でも東大闘争、浅間山荘事件を経てプロテストの時代は去り、戦闘的なフォーク・ソングからニュー・ミュージックへと時代は移ろいます。そうして、キャロル・キングの登場に少し遅れて荒井由実、ユーミンが登場します。

 そんな時代を背景にキャロルが放ったこのアルバムには神が宿りました。さすがに捨て曲なしの名曲ぞろいです。あまりによくできたメロディーが続くので、聴いていてため息がでます。歌詞の世界は分かりやすい内省的なものです。「君の友だち」などは、友だちなんだからいつでもとんで行ってあげるというストレートな人生応援歌的なものです。自己憐憫に陥ることなくこういう歌詞を歌うのは大変なスキルがいると思いますが、キャロルは見事です。バックを固める演奏陣も皆若くて瑞々しい演奏を繰り広げます。みんなその後大活躍する人たちですし。

 姉がよく聴いていたことを覚えています。微妙に年代がずれているので、私自身はあまり縁がなかったのですが、さすがに名盤、素晴らしいです。

Tapestry / Carole King (1971)