あれも聴きたいこれも聴きたい-ChuckBerry 紙ジャケで発売されたので、思わず買ってみましたが、フランスのレーベルによるコンピレーションのようで、何だかバチモンの匂いがします。よくワゴンで売ってる500円くらいのCDのような匂いです。ポリシーに反します。ぶつぶつ。

 チャック・ベリーはロックンロールの創始者の一人とされています。今でもロックン・ロールを記号的に表す時には「ジョニー・B・グッド」のイントロが流れることがあります。それくらいロックン・ロールと一体化した人だと言えると思います。

 また、ビートルズやストーンズなどのロック・ジャイアントが、子どもに帰ったようなはしゃぎっぷりでチャック・ベリーに対する姿は胸を打つものがあります。

 しかし、70年代からロックを聴き始めた世代にはビートルズやストーンズなどの60年代ロックこそが「始まり」ということになるので、彼らが讃えれば讃えるほど、チャック・ベリーなどのオリジネーターは紀元前の存在ということになっていきます。今一つ感情移入ができないんです。

 ブルースやジャズなどですと、あんまり他人に惑わされることなく、音楽を虚心坦懐に楽しむことができるんですが、ロックン・ロールの場合は少し違います。何と言うか、妙な具合に語られ過ぎなんですよね。音楽の枠を超えて文化そのものとなったエルビスに比べると圧倒的に知名度が低い。だから余計に語られるんでしょうが、子どもの頃に熱くなった経験がないとちょっと鬱陶しい感じがします。

 まあそれはそれとして、このCDです。素直にいい曲が多いと思います。「ロール・オーバー・ベートーベン」「ロックン・ロール・ミュージック」「ジョニー・B・グッド」「メイベリーン」などスタンダードとなった曲満載です。ビーチボーイズの「サーフィンUSA」の元歌「スウィート・リトル・シックスティーン」も入っています。

 まさにロックン・ロール大会です。ギター一弾きでロックン・ロールだと分かります。この人は3回も刑務所に入った人で、生涯チンピラ感が漂う人です。そんな軽さは魅力の一つです。ロックン・ローラーの鏡のような人ですね。

Rock And Roll Music / Chuck Berry (original 195 to 57)