あれも聴きたいこれも聴きたい-FrancescoTristano 今日はクラシックな気分でピアノ・アルバムを聴いています。

 フランチェスコ・トリスターノは81年ルクセンブルク生まれのイケメン・ピアニストです。彼はクラシックだけではなくて、テクノの世界でも活躍していまして、ハウスの名曲「ストリングス・オブ・ライフ」などを演奏したりしています。クラブで演奏したりもするそうです。若い人ならではですね。

 このアルバムはヨハン・セバスチャン・バッハとジョン・ケージという二人の作曲家のピアノ曲集です。何故、この二人かと言うと、「どちらも姓が四文字だから」とも書いてありますが、真面目な方では作曲家が意味を持った時代の最初の人と最後の人だからということです。

 プロデュースはテクノ界の重鎮モーリッツ・フォン・オズワルドです。何と言っても売りは録音の妙。マイクの砲列をまわりに侍らせて、時に15トラックにも及ぶ録音をした上で、テクノ用の最新の機材を用いて、編集を重ねています。

 別にピアノの音を歪めたりしているわけではありません。普通にピアノの音なんですが、だからといって生音をできるだけ忠実に再現しようと意図された編集ではありません。心憎いばかりの音像の作り方です。

 それでそれが成功しているのかというと、ジョン・ケージの曲は本当に素晴らしいと思います。何と言うんでしょうか、ピアノの音の残響が霧のようにまとわりついているようです。ピアノの音も柔らかで素晴らしい。あくまでクリアなんですが、余韻まで録音されていて、それが活かされている。

 バッハの方は正直よく分かりません。ちょっとキンキンした音はあまり好きになれません。試しにグールドのCDと聴き比べてみますと、音も無造作なグールドの録音の方が好きですね。フランチェスコ、まだ若い!

 音のことばかりで何ですね。私は、彼のケージの演奏は素晴らしいと思います。これまで何枚かケージのピアノを聴きましたが、彼のものが一番好きです。とりたてて変わった解釈をしているわけではありませんが、感覚がテクノなので、ケージにはぴったりなのではないでしょうか。

bachCage / Francesco Tristano (2011)