あれも聴きたいこれも聴きたい-BuffaloDaughter バッファロー・ドーターの4年ぶりのアルバムです。自らのレーベルを立ち上げて、満を持して発表したということで、力が入っているようです。ということらしいのですが、私は実は彼女たちのアルバムをちゃんと聴くのはこれが初めてです。4年ぶりだとか全然関係ありませんでした。まあレビューっぽく書くには座りがいいもので...。

 さらにレビューっぽく書くと、バッファロー・ドーターは93年に結成して以降、ビースティー・ボーイズの経営する会社に所属した時期もあって、世界で活躍している女性を中心にした日本のバンドです。

 最初は「バッファロー」というから大西部っぽい雄大なロックを演奏するグループかと思っていましたが、全然そんなことはなくて、もともとはアシッド系のトラックをやっている人たちです。アシッド・ハウスないしはアシッド・テクノと呼ばれる音楽は、もともとは日本の電子楽器ローランド「TB-303」を使って幻覚作用をさそうような音を出していくことを特徴とした音楽です。このアルバムでは、原点回帰ということでTB-303を使った楽曲も収録されています。ビデオをご紹介しますので、これがアシッドだと、教科書的に聴いてみるのもいいかもしれません。

 一応説明してみましたが、私にはアシッドという説明は今一つぴんと来ないので、何と言いますか、ポスト・パンク的なサウンドをクラブ音楽を経たビート感覚でやっているというような風情だと言ってしまいましょう。延々と繰り返される硬質なビートは音の骨格標本のようです。ポスト・パンクの人たちが一生懸命アナログでやっていたことを、高いクォリティーでやっています。聴いていて清々しいです。

 しかし、元も子もない感想で申し訳ありませんが、最初に聴いた時に、「ボーカル要るかなあ?」と思ってしまいました。大量破壊兵器に引っかけた題名といい、歌詞カードを読んでみるといろいろとメッセージがあるようです。しかし、この快楽サウンドに似合わないような気がします。サウンドだけで勝負した方がよいのではないかと大変申し訳ないことを考えてしまいました。

The Weapons of Math Destruction / Buffalo Daughter (2010)