あれも聴きたいこれも聴きたい-SmallFaces 最近、どや顔という言葉を頻繁に耳にするようになりましたけれども、結構、この言葉を聴くと不愉快になるという方がいらっしゃるようです。私などは関西文化圏の出身ですから、全く違和感がありません。むしろ、逃げ場のない嫌な感じの「したり顔」よりも可愛らしくて好きです。語感の問題ですね。

 スモール・フェイセス、小顔でしょうか。顔が大きいというのはたしかビッグ・ヘッドだったんじゃないかと思います。ビッグ・フェイスだとどや顔に近くなりますかね。

 たらたらと余計なことを書いていますが、スモール・フェイセスはイギリスの誇るモッズ・バンドです。後にフェイセスやハンブル・パイといったグループに変化していきますが、いずれもどこか「渋い」けど「かわいい」と思わせるバンドです。

 この作品はそんな彼らの最高傑作の誉れ高い名盤です。イギリスではチャート1位を何週間か続けたほど売れました。ジャケットが丸いんです。紙巻きたばこの缶の図柄をモチーフにしたそうです。私は残念ながらLPを手にとって見たことがありません。30センチの円形ジャケットっていうのはそれはそれは感動的だったでしょうね。

 モッズと言えば、ザ・フーの名前が真っ先に上がりますが、スモール・フェイセスの名前を挙げた方が格好いいと思います。事情通っていう感じですね。彼らはロンドンのイースト・エンド出身ですから、コックニーです。派手なウエスト・エンドに対して下町のイースト・エンド、ディープ・ロンドン、ほんまもんのコックニーです。

 この作品ではLPだとB面が月の欠けた方を探すハピネス・スタンの物語となっています。曲の間に語りが入りますが、少しコックニーなまりがあります。わざとかもしれません。強烈ななまりになると聴きとることが困難ですが、ここではそこまで強烈ではありません。

 そんなわけですから、とてもイギリス的です。一方、同時にサイケデリックな雰囲気もあります。キンとしブリティッシュでありながら、ルーズでもあり、サイケでもあり、と聴けば聴くほど味が出てくるところが彼らの魅力でしょう。

Ogdens' Nut Gone Flake / Small Faces (1968)