あれも聴きたいこれも聴きたい-Survivor 凄いジャケットですね。昔、美人の派遣さんが終業と同時に着替えて「これからジュリアナ行ってきま~す」と元気よく退社されましたが、その背中でジャケットと同じような虎が吠えていたことを覚えています。

 そういう個人的な体験があるからか、80年代を代表するヒット曲「アイ・オブ・ザ・タイガー」はバブルの象徴のような気がします。時代考証的には、82年発売ですからバブル時代よりも随分前なんですが、実際、テレビなどでバブル期を語る時に、しばしばこの曲が流れるような気がしますから、個人的な感慨ばかりではなさそうです。分かりやすいリズムとあげっぱなしのテンションがバブルな感じをもたらしているんではないでしょうか。

 「アイ・オブ・ザ・タイガー」は「ロッキー3」の主題歌として、一世を風靡しました。驚異の名曲と言ってよいでしょう。「ロッキー」と言えば、もうあの曲とこの曲です。「ロッキーいくつ」の主題歌だと正確に知らない人は多くても、「ロッキー」を知っていてこの曲を知らない人はいないでしょう。余談ですが、ビデオは映画の場面を使ったものではなく、普通のPVにしました。ロッキーは面白いんですけど、ボクシング・ファンとしては、あのボクシング・シーンは頂けない。

 サバイバーは一発屋だと思っている人も多いことでしょう。当時ですら、「ロッキー3」のための急ごしらえのバンドだと思った人もいたようです。しかし、彼らはバンド名が示す通り、浮き沈みの大きな業界を生き抜いてきた人たちが結成したバンドです。そんなに柔な人たちじゃあありません。このアルバムは三枚目、「アイ・オブ・ザ・タイガー」が6週連続1位に輝いたことに引っ張られ、アルバムも2位まで上昇しています。そして、直後にボーカリストが交替しますが、そこからも好調な活動を維持しました。

 まあそうは言っても、「アイ・オブ・ザ・タイガー」は大きすぎました。こうして30年近くの時が流れますと、だんだん一発屋っぽく見えてきました。名曲を生んだ業のようなものですね。ハード・ロックのバンドですから、シングル・ヒットはそこそこでよかったのでしょう。

 音は、産業ロックとも言われる当時のアメリカン・ロックの典型的なスタイルです。まだドラムの音はあまり80年代っぽくはありません。素朴な味わいも持ちつつ、シャウトするボーカルは時に色っぽくてなかなか素敵です。大好きになるというタイプのバンドでもありませんが、時代に寄り添うバンドであったなあと思います。

Eye Of The Tiger / Survivor (1982)