あれも聴きたいこれも聴きたい-Player
 プレイヤーの「ベイビ・カム・バック」は1970年代ポップスの名曲中の名曲です。この頃のヒット曲を集めたコンピレーションには必ずと言っていいほど顔を出します。ジャケットを見るたびにこんなバンドだったっけと思うわけですが。

 プレイヤーは、世間一般には一発屋だと思われています。このアルバムのタイトル曲「ベイビー・カム・バック」が1977年から1978年にかけて三週連続で全米1位を獲得した他にはあまり有名な曲がないからです。しかし、一発屋だからといって馬鹿にしてはいけません。

 今の人には考えも及ばないと思いますが、60年代後半から70年代にかけて、全米ヒットチャートというのは凄く権威がありました。今では日本のように初登場1位というのが当たり前ですが、当時は大物アーティストでも初登場1位などはありませんでした。

 チャートがじっくり見分して、納得しなければ1位になんてしないぞ、という凄みがありました。エルトン・ジョンの「キャプテン・ファンタスティック」が初めて初登場1位をとった時は大きな事件となりました。ですから、全米1位は、皆が納得する名曲であることと同義でした。

 この「ベイビー・カム・バック」はシングル・チャートではありますが、特に10週連続1位の「恋するデビー」やモンスター作「サタデー・ナイト・フィーバー」からの曲の合間を縫っての1位ですからその実力は本物です。大した成果なんです。

 この曲は本当にいい曲です。当時の大人ロック、すなわちAORの代表曲です。ただこの曲を思い浮かべると、当時の他の曲とよくごっちゃになります。1970年代後半の典型的な音ですから。そのため、「トランスフォーマー」を始め、今でも映画の中でよく使われます。

 一方、この曲はR&Bチャートでも10位になるなど、ソウル・テイストにも溢れています。そこが大ヒットの秘密かもしれません。作曲したバンドのリーダー、ピーター・ベケットは後にジャネット・ジャクソンに曲を提供してヒットもさせています。

 しかし、この曲、実に情けない歌詞です。♪君がいなくなってやり切れないよ~、だから帰ってきてくれ、全部自分が悪かったんやぁ♪、と切々と訴えます。それが返ってよかったんでしょうか、それとも歌詞はみんな気にしないんでしょうか。

 アルバム全体の曲調は比較的いろいろあります。ホール&オーツ、スティーリー・ダン、ドゥービー・ブラザーズ風もありますし、ソウル調、ロック調もあります。ただ、全体は同じ色で統一されていますし、そこに際立った個性があるわけでもありません。

 全体にそこそこ素敵なアルバムという評価が相応しい感じです。そこがこのバンドのサウンドに同時代性を強く感じる鍵です。突出したアルバムではないけれども、それ相応によく出来たアルバム。当時聴きこんでいたらきっともっと好きになっていたと思います。

 それにしても残念なジャケットです。当時の彼らの演奏風景を見ると、この写真よりもずっとイケメンであることがよく分かります。何故にこの写真を選んだのか。普通にもっといい写真があったでしょうに。ここにもまた時代を感じます。

Edited on 2018/6/24

Player / Player (1977 RSO)