あれも聴きたいこれも聴きたい-Vangelis 本名、エヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウって何か凄くないですか。ギリシャ人の名前は一般にこうなのでしょうか、彼だけなのでしょうか、いずれにせよ大変な名前です。それで通称ヴァンゲリス。センスのいい芸名です。

 ヴァンゲリスの音楽は、シンセサイザーを中心にしたコンセプト・アルバムが多いので、シリアスにとらえるとユーロ・プログレと言うことになりますし、聞き流すと今で言うニュー・エイジになります。どちらでもよいと思われるでしょうが、前者は真剣に聴く音楽、後者はBGMというのがロック・ファンの一般的な心持ちですから、実益のある分類だと言えましょう。

 当時は一般にヴァンゲリスのシンセサイザーは甘~~~いメロディにもかかわらず、深刻な聴かれ方をしていて、ミュージック・ライフなどでは頭でっかちな音楽として捉えられていました。そんな評価ががらっと変わったのは「炎のランナー」からでしょう。

 このアルバムは、ヴァンゲリスの通算13枚目のソロ・アルバムになります。「炎のランナー」の一つ前のアルバムとして名高いアルバムです。ひどい言い草ですかね。彼のアルバムはコンセプト・アルバムかサントラかどちらかが多いのですが、このアルバムは小品集となっています。それぞれの曲は独立していますし、それに何よりもボーカルが多いのが特徴です。6曲中5曲にボーカルが入っています。「もう耐えられない。うるさ過ぎる」なんていう歌詞を自分で書いているところなどとてもお茶目です。

 シンセ大作から入っている人ですから、ポップな短い曲を書いても、ポップの定式にとらわれずに音を組み立てるので、自由度の高い音楽になっています。一方でメロディーは綺麗綺麗ですし、突破力はないにせよ、安心して聴けます。さらっと聴くにはもってこいです。

 このアルバムの一曲、「メモリーズ・オブ・グリーン」はブレード・ランナーのサントラに収められました。本作唯一のピアノ曲ですが、映像と合わせて聴くと、しっとり感がましていい感じです。

See You Later / Vangelis (1980)