あれも聴きたいこれも聴きたい-ZebraQueen
 2025年のゼブラ・シティで40週連続1位という偉業を成し遂げた曲です。ちなみに日本ではオリコン・チャート連続1位記録はピンキーとキラーズの「恋の季節」の17週、ビルボードではマライア・キャリーとボーイズ・トゥー・メンの「ワン・スイート・デイ」の14週です。

 「恋の季節」は当時、日本で知らない人はいませんでした。40週も1位だとすると、ゼブラ・シティの住人はそれこそ老若男女を問わず、全員が知っているか、それともそもそも音楽を聴く人が極端に少ないかのどちらかです。

 さすがにそんな大ヒット曲ですから、ある意味で歌謡曲の王道です。過激すぎず、軟弱過ぎず。洋楽のパクリっぽいお手軽な作りの曲に、若手女優を起用して歌わせるというど真ん中の戦略にもかかわらず、どこか気になってしょうがありません。そこがいいです。

 この曲は、2010年5月に公開された「ゼブラーマン-ゼブラシティの逆襲-」の主題歌にして、映画内のキャラクターであるゼブラクイーンが歌う主題歌です。映画は「ゼブラーマン」の続編で、監督は三池崇史、脚本は宮藤官九郎、主演は哀川翔です。

 ゼブラクイーンを演じるのは仲里依紗。彼女は当時20歳、同じ2010年には出世作「ときをかける少女」にも主演し、両作品で見事に日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。この年の新人俳優賞同期には三浦翔平や芦田愛菜がいます。

 この歌は、もろにレディー・ガガをなぞった姿で女優の仲里依紗が歌います。「おお仲さん上手じゃん」とファンの間で話題になりました。楽曲もガガっぽいですが、一発勝負のサビはなかなか聴かせます。初めて聴いた時にすでに懐かしい気がしたほどです。

 仲里依紗という人は、可愛いんだかそうでもないんだか、上手いんだか下手なんだか、賢いのか馬鹿なのか、セクシーなのか子供なのか、見るたびに感じが違う得体の知れない女優さんです。それに仕事の選り好みもあまりせずに何にでも挑戦する人です。

 大変気になる女優さんです。こういう人が伸びるんじゃないでしょうか。私は好きです。歌も完全にゼブラクイーンに成りきっていて、見事です。声もこの楽曲に向いています。というか全く別の系統の曲ならばそのように歌えるんではないでしょうか。さすが女優です。

 サウンドを一人で手掛けている飛内将大は株式会社アゲハスプリングとアーティスト契約をしている方で、伊藤由奈をはじめ、レーベル所属のアーティストに曲を提供しています。藤崎マーケットの「天下無敵のエクササイズ」なんていうものまで手掛けています。

 この歌の売りはもちろんサビのところでしょうが、とても気になるのが♪深く近く深く近く♪という歌詞のメロディーへの乗り方。何を言ってるんだろうかと真剣に聴いてしまいました。カップリングは「ゼブラクイーンのテーマ」、作詞はクドカン、実にそれっぽい。

 そんなわけで映画を見終わってからも気になってしょうがない。こういう主題曲は盛り上がるのも一時だけになりがちなのが残念です。カルトな映画なので、細々とでも生き残って欲しい。そして5年後、10年後には皆で懐かしく思い出したい楽曲です。

Edited on 2018/2/24

NAMIDA~Kokoro Abaite~ / Zebra Queen (2010 Sony)