あれも聴きたいこれも聴きたい-Alamode
 アラモード・マガジンという雑誌が監修しているCDの第一弾です。ゴスロリ、ロリータ、フェティッシュなどを中心とした日本のサブカルチャーを紹介する雑誌だということです。雑誌自体は全く知りませんでしたが、面白そうなCDなので買ってみました。

 このCDにはサブタイトルが付けられています。それは「奇奏ト狂唱的なアングラな何かを特集。」です。分かったような分からないようなタイトルですが、どうやら歌詞が面白いものが選ばれている模様です。

 虚飾集団廻天百眼、霞鳥幻楽団、燭台(怪)、マイナス人生オーケストラ、フジワラトキムネ、Black Ribons、真剣に解散を考えている、アグリカルチャーズ、ヤングデリック、東京やさぐれ女、優雅灯、ニニ、アム、無花果ノスタルジア、ねじ式少女。

 収録されたアーティストの名前を並べてみました。皆さん、とても気合が入っています。最近のお笑いコンビのように、意表をついた名前からオーソドックスな名前まで、百花繚乱状態です。「真剣に解散を考えている。」など今なら中二病と言われそうです。

 世界史、四方八方、ドラムソロ、不幸自慢、愛のセリフ~目を醒ませ!群衆の女神2010~、罪と×、めがねのうた、カキフライ星人の侵略、平成生まれ、帰り道、底なしの女、04:37、円い夜、彼幻踏み、フリージア。こちらは曲名です。さらに気合を感じます。

 音の方はどうかといいますと、もろ歌謡曲的な情念の曲もあれば、ハードコアもあり、ヒップホップ風あり、いろいろです。マイ・ケミカル・ロマンスみたいな曲もあります。そして、ボウイの影響力が強い曲が多いように感じました。ボウイを聴いて育った世代です。

 歌詞の世界は、しょうもないんじゃないかと恐れていましたが、そんなことはありませんでした。ドストエフスキーさんと空を飛んだり、カキフライ星人と戦ったり、めがねをかけてのび太になったり、とからりと明るい歌詞が多いです。耽美どろどろ感はそれほどではありません。

 私は日本のインディーズの勃興期に一生懸命いろんなバンドの作品を集めていました。30年も前です。当時に比べると、音の良さに涙がちょちょぎれます。当時はお金のない人はソノシート出してたんですよ。機材の進化とメディアの進化のすさまじさに、胸が熱くなります。

 しかし、今も昔も若者は馬鹿です。そこはほとんど変わりません。この中から大成するバンドは多くはないでしょうけれども、どのバンドもキラキラと輝いていて、聴いているこちらも大変気持ちがいいです。

 音楽の神様はこうしたところにも降臨するものなのだなあとしみじみ感じます。あの手この手で世の中にでようと頑張っているバンドにも、そんなことを考えずに楽しいからやっているというバンドにも。

 この中での一押しはアグリカルチャーズです。「カキフライ星人の侵略」は私の脳裏に深く刻み込まれました。重いリズムに乗せて、面白歌詞を歌うヒップホップ歌謡。ちょっとおっさん臭いところが私には大そう心地よいです。

Edited on 2017/8/20

Alamode Magazine CD Vol.01 (2010 Artism)