あれも聴きたいこれも聴きたい-CultureClub2
 カルチャー・クラブは順調にスター街道をひた走り、この2枚目のアルバムも大いに盛り上がりました。そんな世間の盛り上がりに対して、私は二つ大きな疑問を持っていました。一つ目は、ボーイ・ジョージは本当に美しいのか、ということです。

 当時、知り合いの男の子が、「こんな綺麗な人が男だったなんて」と大いにショックを受けていたのが忘れられません。女装がどうのこうのという意味ではなく、一目見た時から、私は何だかなあと思っていたのですが、やけに彼を綺麗だという人がいました。

 後輩女性にボーイ・ジョージと顔の造りも雰囲気もよく似ている子がいましたが、「絶世の美女だ」と言う人もいましたし、何よりも本人が「私は美人よ」オーラを出していました。やはり、私は何だかなあと思っていましたが、どうでしょう。単なる好みの問題にはしたくありません。

 二つ目は、「カーマは気まぐれ」はそんなに名曲なのか、という疑問です。80年代洋楽特集をテレビで放映すると、ほぼ必ずカルチャー・クラブはこの「カーマは気まぐれ」です。あのニュー・オーリンズ、ミシシッピーを舞台とした古き良きアメリカンなPVです。

 ♪カーマカマカマカマ♪とオカマが歌うというので話題になりましたが、それとこれとは別問題です。確かにアメリカでは、ディキシーランド風味あふれる「カーマは気まぐれ」が大ヒットしましたし、アメリカでの代表曲であることは間違いありません。

 しかし、日本ではカルチャー・クラブといえば、哀愁のメロディー・ラインです。「君は完璧さ」や「タイム」、このアルバムでも「ミス・ミー・ブラインド」や「ヴィクティムズ」なんかの方がよほど代表作っぽい。それなのになぜ「カーマは気まぐれ」ばかりがもてはやされるのでしょう。

 疑問はさておき、このアルバムでは、先のデキシーランド、ジャズ、ゴスペル、モータウンとそれこそごった煮の様相がますます深まっていきました。もはや何でもありなのに、ボーイ・ジョージの声が全てをつないで統一感があります。

 バンドのサウンドも魅力的で、曲調はそれこそばらばらなのに不思議な質感です。かつて、近田春夫は、サウンド的な統一感がないところを魅力にまで昇華した彼らを評価すべきだと書いていました。全くおっしゃる通りです。

 このアルバムは英国で1位、米国では2位を記録しました。大変残念なことに、米国ではマイケルの「スリラー」が1位に君臨していた時期です。「およげ!タイ焼きくん」に1位を阻まれたキャンディーズの「春一番」を思わせます。

 カルチャー・クラブの大活躍はこのアルバムを頂点とします。まだまだ活動していくのですが、勢いは明らかに減じてしまいます。前作と共に80年代を代表するアルバムなだけに、この勢いを持続するのは難しかったことでしょう。

 ボーイ・ジョージは、この後、やたらと太ったりして、どんどん英国タブロイド紙のお伴になっていきます。音楽はとても面白かったのですが、当初ついてしまった際物感が後々まで祟ったのではないでしょうか。その分、スターの座を満喫したわけですけれども。

Edit 2015/12/29

Colour By Numbers / Culture Club (1983 Virgin)