あれも聴きたいこれも聴きたい-Parliament
 タイトルはどういう意味でしょうか。大変訳しにくいですし、良く分かりません。まことに無念ですが、教科書英語ではなかなかこういう俗語的な表現は分からないものです。映画も分かりにくいですが、歌詞の世界は全くお手上げです。

 それはさておき、晴れてパーラメントが再始動することになりました。カサブランカ・レコードを興したニール・ボガートが以前からジョージにラブ・コールを送っていたため、レーベルを興した機をとらえてジョージがアプローチし、見事に契約をとるに至ったということです。

 さすが商売人ジョージ・クリントンです。このあたりのスピード感は素晴らしいとしか言いようがありません。また、これ以降、ファンカデリックとパーラメントの二つの名義で活動するという変則的な状況が常態となりました。

 本作は、冒頭からとてもPファンクらしい代表曲「アップ・フォー・ザ・ダウンストローク」がさく裂します。鍵を握るのは戻ってきたブーツィー・コリンズです。この曲は戻ってきたブーツィーがいきなり全面的に参加した曲です。

 ブーツィーが持ち込んだジェームズ・ブラウンのワン理論(一拍目をしっかり弾く)による強力リズムに、ぐりぐりのキーボード、リズム楽器のような合唱隊、弾けるホーンと、これぞファンクの教科書のような一曲目です。

 パーラメントのファンクと言えば、この「アップ・フォー・ザ・ダウン・ストローク」を思い浮かべる人も少なくないと思われるほどPファンクらしい楽曲です。ホーンに彩られたエンヤコラなボーカル曲が真骨頂ですから。

 ところが、このアルバム、こんな曲はこれくらいです。後はやや中途半端な感じを受けます。棟梁ジョージのシナトラ趣味だか何だかも現れていて、ファンカデリックとパーラメントを分ける意味合いもまだまだはっきりしておらず、混然一体となった過渡期的作品と言えます。

 調べてみるとブーツィーの参加した楽曲はわずかに2曲だけです。ブーツィーのPファンクにおける位置づけが分かるというものです。今回は前にファンカデリックに吸収された反省から、ブーツィーは自身のバンドでのデビューを目論んで小出しに参加したんだそうです。

 過渡期的作品には、その腰砕けがよいとして、少数派ながら結構なファンがいるものですから、このアルバムもそれなりに人気があると思われます。ジャケットがまたサン・ラーの映画のようでカッコいいですし。

 私は若い頃は「マゴット・ブレイン」あたりを別にすると、今一つPファンクになじめなかったのですが、30代後半でしたか、突然ファンクの神様が降臨しました。以来、このリズムは脳の中の変態中枢に鎮座ましましています。

 これを自分史的にとらえていたのですけれども、ちょうどその頃、日本中でPファンク・ブームが起こっていたわけで、自分の感性、なんて言っても、所詮は時代に左右されてるのだなあと、感慨に耽る私でした。

Up For The Down Stroke / Parliament (1974 Casablanca)

(2015/3/8 Edit)
(参照:「P-Funk」河地依子)