2024. 3. 23 日経新聞「春秋」

日経1面のコラム。

北斎「富嶽三十六景」が米国での高額落札…その浮世絵に魅かれ心底愛したゴッホ。

彼の日本人評が興味深いです。

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ゴッホは弟で画商のテオあてに、膨大な数の手紙を書き送った。

その中にこんな一文がある。

「もしただ正確な色彩とか、ただ正確な素描とかで描いただけならば、そうした感動を引き起こさないだろう」。

江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の作品の魅力を伝える言葉だ。

▶︎浮世絵の明るい色調やモチーフの思い切った単純化、斬新な構図がかつて西欧の芸術家を驚かせたことはつとに有名だ。

とりわけモネやゴッホなど「公式の『サロン』(官展) から締め出された前衛的画家たち」(高階英彌著「西欧絵画の近代」) に大きな影響を与え、美術の歴史に新たな1ページを開く起爆剤になった。

▶︎そんな日本の絵師の一人、北斎の「富嶽三十六景」が米ニューヨークで競売にかけられて、5億円を超す金額で落札された。

高い国際評価は貧しさに耐えながら、様々な流派の技法を取り入れ続けた画業の成果だ。

そしてシンプルな線で豊かな世界を描く技は現代の漫画やアニメの表現の核にもなり、いまなお生き続ける。

▶︎日本はスゴイ的な安易なノリにはときに違和感を覚えることもある。

でも芸術家が心から発した賛辞なら素直に受け止め、人の心を震わす創造のバトンを未来へつなぐ力としたい。

ちょっと面はゆくもあるが、最後に再びゴッホの手紙から。

「日本人がその作品のすべてのものにもっている極度の明確さを、羨ましく思う」

〈〝極度の明確さ〟…

面白い表現だなと思いまして。

浮世絵の作品評なんでしょうけど、日本人という民族全体の特色をワンフレーズで捉えているなと。

ゴッホが愛してやまなかった浮世絵、その北斎の代表作が5億円ですか！

本文には、貧しさに耐えながら…とありましたが、北斎は多分、そんなに気にしてなかったような気もします。

とにかく、イイ絵を描きたい創りたいの一心で日々生きていた人のようですから。

ゴッホの方は、そんなところがあったかもです。

とにかく弟テオへの手紙のほとんどの内容が金の無心ですから。

何しろ全く売れなかったんですからね。

それが今では、、

天国でゴッホはどう思ってますかね、、

「なんで生きている時に分かってくれなかったんだよ」

あるいは…

「ようやく分かってもらえたか！

実はね、、自信はあったんだよ、へへへ」

令和の今の時代にも、そういう作品、、それは絵に限らず音楽や文学や映画など諸々の世界で存在しているのかも。

今でこそマンガ・アニメは世界的に大人気で、芸術的価値も認められてますが、一昔前は、相当地位が低かったですからね〉

#北斎とゴッホ