わたしは双極性障害Ⅱ型と診断されている。
今回はその症状についてまとめてみようと思う。
双極性障害は、以前は躁うつ病と呼ばれていた。
そしてⅠ型とⅡ型に分かれる。
Ⅰ型は躁状態の時の症状が顕著で目立つので、診断がつきやすい。
Ⅱ型は躁状態と言っても軽躁状態なので、自分も他人も気が付かない。なのでⅡ型はうつ状態が出た時に病院を受診する。
診断名はうつ病となり、抗うつ薬が処方されることとなる。双極性障害に抗うつ薬を処方しても回復が望めないので、病状が慢性化することとなる。
双極性障害Ⅱ型の有病率は、Ⅰ型同様に1%と言われている。100人に1人の確率。
うつ状態と軽躁状態を繰り返すサイクルは数か月~数年と言われ、個人差がある。長いうつ状態が続き、短い軽躁状態がある。
低め安定(うつ状態ではあるが、それなりに安定したうつ状態)であることを目標に治療をする。
軽躁状態の時には気分がよく、頭も冴える。ただ逆に焦りや不眠などの症状も起こりやすい。他の不安障害も併発しやすく慢性化しやすいため、Ⅰ型よりも自殺リスクが高い。
うつ病は40代で発症することが多いが、双極性障害の発症は20代。まれに10代からというケースもある。
また双極性障害の発症率は、うつ病の1/10である。うつ病の再発率は少ないが、双極性障害の再発率は90%である。
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わたしもうつ病から双極性障害Ⅱ型に診断が変わったケースだ。
よくある1時間以上待って5分診療みたいな病院ではなく、その時の主治医は最低でも30分は診察時間を取って精神療法をするドクターだった。
うつ病には何度も再発するタイプがある。再発を重ねると次の再発の可能性がどんどん上がっていく。最初はそれを疑ったドクターだったが、何かのタイミングで診断名が変わった。私の軽躁状態を見抜いたからだろう。
そこから処方が変わった。色々と試してみて現在の処方に定着している。
基本的に精神薬は単剤。一種類だと合わない時にすぐ変えられる。後は眠剤も単剤だ。
わたしが勝手に思うのは、双極性障害Ⅱ型の治療の難しさは、診断をつけにくいことに起因するということ。
なにせ下手すると数年ものあいだ軽躁状態が出現しないのだ。しかも軽い躁状態なので本人すら気づかない。
頭が冴えるし、身体もわりと動く。うつ状態の時は頭にモヤがかかったようで何も出来ない上に、倦怠感も強く一日中眠っていることすらある。それに比べると軽躁状態はとてもハッピーなのだ。
数年に一度のそんな期間が終わってしまい、またうつ状態に入った時の絶望感たるや。そりゃあ自殺率も上がるというものだ。
またⅡ型は過食になりやすい。過食嘔吐も経験したが、過食のみの時のほうが多い印象だ。つまり年齢を重ねれば、そのまま生活習慣病のオンパレードに突入する。高血圧、糖尿病、高脂血症などなど。これでまた死亡率を上げる。
診断をつけにくい。つまりは間違った処方を長年され続け、再発率が高く、薬は一生服用する必要性がある。おまけに生活習慣病もついてくる。
なまじ軽躁状態の時の気分の良さを知っているので、長いうつ状態に絶望してしまう。
なんのために生きているのだろう。そんな疑問や苛立ちを覚えてしまう。
治癒の見込みのない病気を受け入れるのは、なかなかにしんどいものだ。
あと、診察時間について。(2020年現在)
30分以上の通院精神療法(30分超)保険点数400点。
5分以上の通院精神療法(30分未満)保険点数330点。
1点は10円。
30分以上の診察だと4000円。5分以上30分未満なら3300円。
つまり、5分診察すれば3300円の保険点数なのに、30分以上診察しても700円しか追加加算されないわけ。
国の制度がこれでは、そりゃあ5分診療が増えるのはごもっともなわけだ。
そして双極性障害Ⅱ型は見落とされ、間違った処方をされ、一生治らない。
治療についてだが、まずは正しい診断。そして治療薬を継続して服用すること。これが大前提だと思うので、ゆっくり時間をとって診察してくれるドクターを探すことが大事だと私は思っている。
国の制度はダメダメだが、患者にしてみれば一生を左右する診断なのだ。納得のいく診察を受けられるドクターを探すことを軽視してはいけない。
私は10代で発症してから40代後半まで正しく診断されなかった。自分では気づかない。生活のために病状が落ち着けば(落ち着かなくても)仕事を続けて、ますます悪化していった。
次に周囲の人間の理解とサポート。
これがまた困難だ。なにせその周囲の人間が発症の原因だったりもする。
ただ、病気に対する知識のあるドクターの支えがあれば、その他大勢が無理解であっても最低限の逃げ道は出来る。
診断書を出すのも、障碍年金へのサポートをするのも主治医だ。
また精神科の治療費を3割から1割負担に出来る制度もある。
一生続く治療なのだから、経済的なサポートは欠かせない。うつ期には頭がまわらないものだ。それらの支援をスムーズにしてくれるドクターがなにより頼りになる。
一生続く病気だ。脳の病気であり、心臓や肝臓の病気同様に臓器の病気である。内科的疾患も併発する。ただし外見からは分からない。わたしの経験上、周囲の正しい理解はまず得られないと思っていい。心がけ次第でどうこうなるものでもない。
全ては運だとわたしは思っている。
発症するのも、悪化するのも、他疾患を併発するのも、全て運。
最善の治療に結び付くのも、最良の協力者に恵まれるのも、ゆるやかな病状経過で軟着陸して一生を終えられるのも、運。
どんな病気でもそうだが、経験者でなければ本当の意味で分からない。
なので周りに過剰な期待をして、裏切られたと逆恨みをしないように。
そんなことよりも、自分の時間をより楽しいものにするために何が出来るかを考えたほうがいい。
この病気になるととにかく忘れっぽくなるような気がする。
自分を客観視するためにも(認知行動療法に通じるものがある)日記的なものを書き残すのが有効だと思う。
行動、感情、評価。あと簡単な家計簿をつけると客観的な行動分析になる。
感情をこねくりまわすよりも、自分の行動を見てどうしてその行動に至ったのかを評価するほうが分かりやすいはずだ。
それから、空を見て、星を見て、植物を見て。
自分がどれだけ奇跡の確率でここにいるのかを思い起こしてみるといい。
この宇宙の法則は人間にとってあまりにご都合主義だ。こんな確率で存在している生物など、他にはいないと思えるほどに。
瞑想の時間もまた、こころの平穏に必要な時間だと思っている。