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人に必要なことって、なによりスキンシップじゃないかと思う。
ハグする。抱きしめる。頭を撫でる。背中を撫でる。受け入れている。
守っている。大切だと伝える。味方だと伝える。信じていると伝える。
スキンシップ。それは子供だけでなく大人にも必要だ。

否定され続ければ、子供は情緒が安定せずに常に周りの目を気にして生きることになる。自分の価値を認められずに、常に自己を卑下することとなる。脳が成長しきるのは25歳くらいだと聞いたことがある。成長過程の未熟な脳に加えられたダメージはずっと残る。

共感性が高く、よく話を聞いてくれるが自分のことはあまり話さず、我慢強い。そんな一見いい人はいないだろうか。彼らは優しい人だと思われがちだ。
ただよく見ていると、自己肯定感の低さから良い人を演じている人がいる。見捨てられ不安から来る無意識の演技だ。
彼らは時に我儘な連中に利用される。利用されているのにギリギリまで耐えて、ある日突然キレてしまう。
キレられた方は意味が分からないだろう。相手を苦しめていた自覚がないのだから。


私は双極性障害Ⅱ型と戦いながら、精神医学を仕事とし、様々な心理学を勉強してきた。ただ一周学び終わって気付いた。大切なのは知識ではなかったということに。
例えば、自分の育てた畑の畔に座って、皺くちゃの顔でにこにことただ微笑んでいる。そんな老人の心の平穏には、どんな知識も太刀打ちできない。
大切なのは今。今ここ。その意味を知っている人は、なんの力みもなく自然体だ。

他人というものは変えられない。過去も変えられない。
変えることの出来るのは自分と未来だけ。
そのために必要なのは、今の積み重ねなのだ。
世界がどんなに混沌としていようと、他人がどんなに無慈悲であっても、全ては元々ひとつであったことを忘れてしまった人間の所業。

まずは身近な、大切な人を抱き締めることから始めたらいい。
その人はきっと抱き締め返してくれる。
その時間。今、ここだけを大切にしたらいい。
ひとりの安らぎから、大切にされているという安堵からしか、世界は変わってはいかないのだから。