一部の方には耳タコな話(完全に私事)をまとめて書いておきます(笑)
私のライフワーク長編小説。「ONE」。
四作構成で、本編「いのちのクリムゾン 死のトパーズ」、本編の続編「血の宝石」、本編から十年後「百年後の邂逅」、本編の百年前の外伝「蒼い夢」。
推敲は師匠の元でガリガリやりました。私のライフワークです。
初稿を書いたのは二十代の頃でしたが、書く切っ掛けは下にリンクした曲でした。タイトルそのまま、主人公の名前もそのまま。
この曲はリチャード・バックの小説「ONE」からインスピレーションをもらって作られたそうです。小説は初稿執筆の二十代の頃に読みましたが、ぶっちゃけよく分からん……でした。今なら少しは分かるかな? と再読しようと思っています。
この小説は並行世界の話で別次元にいる分身の話のようだけど、私の書いたものは全宇宙にいるものは全てひとつという内容なので、次元は分かれてない感じかな。
もう一つ。こちらのドラマも執筆中や推敲中に何度も観た作品。
この作品のなかで、小さな波の話があった。
小さな波が海のなかから迫りくる岸壁をみて恐れていた。僕はこれからあの岸壁にぶつかって砕け散ってしまうのではないのかと。
それを見たほかの波がこう話した。「恐れることはないよ。僕らは小さな波ではなくて、大きな海の一部なんだから」。
このエピソードもまた自作にインスピレーションを与えてくれました。モリ-先生役の俳優さんの名演技。おすすめのドラマです。
さて。『ONE』の歌詞を和訳してみました。部分抜粋です。
日本語で歌うのは無理だから英語で歌うと決めたというKATSUMIさんの気持ちも分かります。これは和訳の更なる訳が必要だなあ。けれども、それだと元の歌詞をかなり主観で補う・もしくは歪曲することにもなりそう。とはいえ、そうしないと腑に落ちないというか、しっくりこないわけで。
以下に和訳を。カッコのなかは私の主観による訳です。歌詞としては成り立っていませんが。
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私はあなたの幻想だった。ずっと前にあなたは私のものだった。
私は知っています。あなたも同じように感じていると。
私たちが生まれるずっと前から、私たちは一つだった。
(この三行は後に続くものの前振りなので、ここではスルー。後で付け加えます)
私たちが見ている世界は、私たちが知っている唯一のもの。
どういうわけか私たちは、それが真実であると信じています。
この世界が私たちがいる場所です。
属しているのは私たちが作り上げた幻想。
それはすべて心の中にあります。
(私もあなたも、今の世界を唯一のものであり真実だと信じている)
(しかしそれは、私達がこころの中で創り上げた幻想にすぎない)
それを外に出してください(手放してください)
私を手放してください(あなたを手放してください)
(その幻想を手放して下さい)
(あなたの幻想の世界にいるわたしを手放して下さい)
(あなたの幻想の世界にいるあなたもまた手放して下さい)
また会えることがとても幸せです。
バラがバラであるように、私たちの愛は真実です。
(今の出会いは初めてのものではありません)
(私達はまた再び出会ったのです)
(私はその出会いをとても幸せに思っています)
(バラは自分のことをバラだと証明する必要はありません。見たままそのままでバラはバラなのです)
(バラと同じように私達の愛は真実です。そこに何の説明も証明も必要ないのです)
私はかつてあなたのものでした。
今、私たちは一つになるために永遠の命を生きています。
(遠い過去、私はあなたのものでした)
(そして、あなたもまた私のものだった)← 一行目部分より。
(しかし、互いを所有しあうのではなく二人は『ひとつ』であることを知るために、私達は輪廻を繰り返すのです)
愛しています。あなたは私を愛しています。
目を閉じれば、それが真実であることがわかります。
もし私たちの人生が再び交わることがあるなら、私たちは恋に落ちずにはいられない。
一つの人生を一緒に。一つの人生を一緒に。
(あなたは私を愛しています。それが真実だということを私は知っています)
(私達が生まれ変わって、もしまた出会ったのならば、二人は恋に落ちるでしょう)
(ひとつの人生を一緒に生きるために)
(私達は生まれる前からずっとひとつだったのですから)← 三行目部分より。
*****
来世に乞うご期待! ってな話に読めてきた(おい)
この歌詞が一人称で『わたし』からの感情しか見えないからかな。
ただこの『わたし』の確信は確固たるもので、自分の気持ちと『あなた』の気持ちは全く同じだと信じて疑わない。
それを幻想だと揶揄するなら、『わたし』のもつ強烈な精神論で論破されそう。あなた達は今の現実世界しかないという幻想に妄執して、多次元や輪廻を否定する気なのかと。
日本語歌詞のなかに『信じよう それだけさ 自分自身を』というものがあるのだけど。それが壁を突破する方法なのだと。
『君と僕は お互いに 生きていく 鍵になれる』この歌詞もまた、確信ではあるけど未来を見据えての言葉。この歌詞は現在進行形なのだな。
二人はまだ『ひとつ』にはなっておらず、自分自身を信じて突破しなければならない壁がある。
精神性を高めていくことによって、次の出会いでは必ず恋に落ち、『ひとつ』の人生を一緒に生きることになる。
こころの擦れ違いのことを多次元と言っているのか。自分が作り出した幻想世界とは、自分が創った殻のなかにいるということ? その示唆?
細かく見るとなかなか難解な歌詞だけど、大枠で言ってることは王道かなと思ってる。シェイクスピアの言葉「バラはバラであり、他の名前で呼んでも香りは変わらない」からの引用も納得感があるし。
わたしはONEと聞いて、まずユングの集合的無意識を思い浮かべたし。
もちろん「モリー先生との火曜日」の中で語られる「恐れることなんてないんだよ。僕らは小さな波ではなくて、大きな海の一部なんだから」というエピソードでも集合的無意識を思い起こした。
王道のモチーフがたくさん散りばめられた作品。それらをまた集めて一つの作品を紡ぐ。創作っていうのは模倣から始まるとはいうけど、インスピレーションを得て、それを自分のなかで咀嚼して新しい作品に昇華する。
その繰り返しなのかもしれない。
だいたいの物語の筋は、もうローマ神話あたりで出尽くしているだろうし。
翻訳も楽な時代になって、三十年前にはじめて聞いた曲の歌詞の意味を再度見直す機会ができた。
いい時代だね。