法令、通達においては、その性質上、特別の意味をもって用いられる言葉がある。
①「訓示規定」、「取締規定」と「効力規定」
「訓示規定」は、一定の義務を課しているものの、その違反に対して罰則の適用はない。この種の規定は、一般に行政機関に対して義務を課す場合に用いられる。これに対し「取締規定」は、一般国民に対して義務を課し、違反に対しては罰則等の適用がある。「効力規定」はこれらのうち最も強力な規定であり、これに反した場合には法律行為の効力自体が否定されることになる。
②「みなす」と「推定する」
「みなす」とは「本来は異なるものであるにもかかわらず、これを法令上同じものとして取り扱う」ことをいう。これに対し「推定する」とは、「反対の事実や証拠がない限り、ある事実について法令が一応このように取り扱う」こととするものである。
「みなす」との差は、「みなす」が反証を許さないのに対し、「推定する」については、反証がある場合にはこれが認められているという点である。
③「とする」
「とする」とは、本来そのように扱ってもおかしくないようなものについて、「制度上そのように決める」場合に用いられる用語である。あるものを別のものとして取り扱うという点においては「みなす」に近いものであるが、「みなす」との差は「とする」との方が類似性がより少ないという点である。
④「適用する」、「準用する」と「読み替える」
「適用する」は、法定の規定を「本来の目的とする対象そのものにあてはめる場合」に用いられる。「準用する」とは、「ある事項に関する規定を、それとは異なるが類似した面のある他の事項についての規定として借用し、若干の変更を加えつつあてはめる」ことをいう場合に用いられる。これに対し「読み替える」とは、複雑な規定の一部を変えながら準用するという手続を示す表現である。
⑤「例による」、「同様とする」
「例による」とは、ある事柄について規定する法律とこれに基づく命令を含めて、その制度全体を包括的にあてはめてそれに準じた扱いをする場合に用いられる用語である。これに似たものとして「準用」があるが、その対象範囲は大きく異なっている。「準用」がそこに示された法令の規定だけを対象としているのに対し、「例による」は準用の対象が制度全体に及ぶという場合に用いられる。また「同様とする」は、古くは「同シ」という形で表現されていた。現在でも法人税法第23条括弧書きにその例が見られる。この用語は同じことの繰り返しを避ける意味で用いられ、その意味で「準用する」と近いものであるが、「準用」は他の規定をそのまま借りてきている。これに対し「同様とする」は同様とされる規定と全く同じ規定が定められるべきものが省略されている。
⑥「ものとする」、「しなければならない」
両者とも義務を表すものであるが、その内容には若干の差がある。「ものとする」は、取り扱いの原則、方針を示すようなものであり、それに従って処理することが当然期待されている場合に用いられる。これに対し「しなければならない」は、税務署(又は国税局)などといった、いわゆる当局に対し何らかの義務を課している場合に用いられる。
⑦「この限りでない」、「ただし」
「この限りでない」とは、まず前に主文章があり、その後に「ただし」で始まる文章、いわゆる「ただし書」の述語として本文の例外を示す場合に用いられる用語である。「ただし」は、主文章の後に続けて新しい文章を起こして書かれ、主文章の規定に対する除外となる。前述したように、これは「ただし書」と呼ばれ、これに対し主文章は本文と呼ばれることとなる。この例は頻繁に使われており、いたるところにみられる。