(写真：イ・ミンホ イメージ：音楽プロデューサー ユン・ソンジェ)
その日、ソンジェは再び
伯父のもとを訪れていた。
｢今日は甥として、
伯父さんにお願いがあって
来ました。
だから初めから断ったりは
しないでください」
と言って、ソンジェは切りだした。
しかし伯父である
スターライト事務所の会長
ユン・テソンは、ソンジェに
いつもの柔和な笑顔を
まったく見せることなく、
「マイケルのことならば、
願いは聞き入れられない。
ダメなものは、ダメだ」
と冷たく言い放った。
しかしここでソンジェは
引き下がるわけには行かなかった。
「マイケルのことを、どうしても
私は黙って見過ごすことは
出来ません。
なぜなら、
マイケルの自殺未遂には
私にも責任があると
思っているからです」
「なぜお前に責任があると言うんだ？
あの子は勝手にうちの事務所を辞めて、
ライバル事務所に移籍したんだぞ。
移籍後のことは、向こうの責任だ」
「これは最近知ったことなのですが、
マイケルの意思で移籍したわけでは
なかったのです。
グリムは母親に近づき、
デビュー話で母親を釣ったんです」
と言った。
「マイケルは母親思いだから、
母の願いを無視することが
出来なかった。
そういうことだったんです」
「しかし、だから何だというんだ？
マイケルが我々を裏切り、
ライバル事務所に移籍したことに
変わりはない」
「うちの事務所は最近、
事務所の期待の星だった
ソフィアを死なせてしまいました。
心ない人たちからの
ネットバッシングで
ソフィアが苦しんでいることを
知っていながら、結局、
何もしなかったからです」
「マイケルはうちの元練習生です。
私はマイケルの才能に
惚れ込んでいたから、
あえてデビューを遅らせました。
マイケルを中心にした
新しいグループを
つくるつもりだったからです」
「伯父さんが作った、
伯父さんの夢の結晶である
“スーパーボーイズ"は、
人気グループの
人気メンバーで作った
特別なグループでした。
本当に素晴らしい
グループだったから、
全米アルバム・チャートも
１位を取った。
しかしレンタル・メンバーと言う
特殊事情があったから、
期間限定にならざるを得なかった。
だから、継続的にアメリカでの
プロモーション活動が
出来ませんでした。
その結果、株主に頭を下げて
借金をしてまで
アメリカ・デビューをさせたのに、
全米シングル・チャートを
取れませんでした」。
だからこそ私は
マイケル中心の新グループをつくって、
アメリカで継続的に活動させ、
全米シングル・チャートを取って、
伯父さんを越えたいと
思ったのです。
だからあえて、
他のプロデューサーからの
提案が多かった、
既存の人気グループへの合流を、
追加メンバーとして
デビューさせる案を
私は絶対に認めませんでした。
しかしマイケル以外の
有能な才能が
残念なことになかなか
出てこなかった。
その結果、いつまでも
マイケルをデビューさせることが
出来ませんでした。
既存のグループから
デビューさせていれば、
グリムにマイケルを
横取りされることも
無かったかもしれない。
家族を持たない私は、
親の気持ちというものが
わからなかったのです。
結局、私の野心が
マイケルを他の事務所へ
移籍させ、彼を自殺未遂にまで
追い込んだとも言えるのです」。
「死んでしまったソフィアは
もう戻ってきません。
でもマイケルはまだ
助けることができるんです」
とソンジェは目にうっすらと
涙さえ浮かべて伯父に言った。
「だから私は、伯父さんが
何と言おうとも、あきらめません。
マイケルを助けます」
と伯父に宣言した。
(写真：チョン・ウソン～イメージ スターライト芸能事務所会長 ユン・テソン)
(写真：キム・ボム イメージ：練習生マイケル)
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第１章～第２章
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