雨がずっと道端を濡らし、蛙が鳴き声を上げたある日の朝。私は布団から顔を上げた。
時間は朝8時過ぎ。部活が始まるのは9時だ。
今から用意しても、自転車では30分程かかる。
私は挙動不審になりながらも急いで制服へ着替えた。靴下がそれぞれ違うものを履いていたのは、
朝ごはんを食べ終わってからだった。
私はなびくスカートを気にして手で抑えながら
やや早漕ぎで自転車を漕いだ。
点滅する青を無視して、信号機の横を通り過ぎた。
まだパラパラと雨が眉毛や頬に落ちてくるのは気にしない。どうせ後でタオルを使えばいいだけの話だ。

学校に着いた。時刻は8時50分。間に合った。
一息付き、自転車の鍵を外し終え急いで
音楽室のある4階へと駆けて行った。