状態:異常
愛が芽生えた。感情を歌に乗せることができた。
新しい名前ができた。新しい音楽が生まれた。
人の優しさを知った。人の在り方を覚えた。

正しい人でいたい僕らが、正しくあるために失った、煌々と輝く過去の縁(よすが)
優しい人でいたいあんたが、優しくあるために傷つけた、優しいあんたの心の隙間
(ヒロモト ヒライシン『生活についての考察 / 重音テト』より)

 このところ、よくこの曲を聴く。曲調の適度な落ち着きと、ボカロらしからぬ比較的やわらかな声。風景を切り取った定点カメラのイラストに、明るかったり暗かったりする物憂げな生活。そして何より歌詞。完璧とまではいかないが、私の思考を言葉に落とし込んだような語り。私には思考をこれだけ的確に言語化する能力はない。ギター、ベース、ピアノ、コーラス、全てが一体となって私の涙を引き出そうとしてきた。詳しい歌詞の感想については触れないでおく。私の思考は私の言葉で、稚拙ながらもこれから書き遺すつもりなので。

 人を信じられない。信じてもいいのだが、裏切られる未来が見える。人ではなく、社会に。僕が誰かを信じたら、社会がそれを裏切ってくる。だから信じたくない。けど信じるのをやめられない。そんな私に一つの標語。“人の心に頼らない、人の心を信用しない、人の心に期待しない”だ。心なんて曖昧なものは度外視する。正確には、心によって齎される利益を度外視すること。散々あんなことこんなこと言ってきたが、人間社会というもの、人の心は結果に大いに影響する。だから蔑ろにはできない。けど期待はできないから、利益は期待しちゃいけないね。

 何もなかった振りをして、何も見てないし、何も見られてない振りをして、一旦寄り添っている。長くは続かないことくらい分かってる。一時凌ぎでしかない。寧ろ体を蝕むかもしれない。私は嘘をつかないから、ってきっと彼は愛を信じている。この先二度と信じてもらえないだろうと予感しながらも愛を信じているはずだ。私もそのつもりだけど、ほんとうは私にも分からないの。彼の性格的に分かり合いたいと願うかもしれないが、私はそれを知覚したくない。拒絶して、拒絶して、拒絶して。少し経ったら数日ごとごっそり消えてしまうようにと。

 私の隣にいる人が私より早く死ぬのは嫌だ。本当は全部を知っていたいけど、そんなの叶わないし、普通じゃないし、どうせ死んでしまったらどうでも良くなるから、はやく死んでしまいたい。愛されてるうちに、綺麗な私のうちに、壊れて窶れてしまう前に、今のうちに死んでしまいたい。実際のところ、私が誰のことを知りたいのかは分からない。私なのか、彼なのか、あの子なのか、みんななのか、社会なのか、見えないところなのか、真実なのか、嘘なのか。ただ、一つだけ言えることが。きっとどれを知っても満ち足りないし、幸せにはなれないし、寧ろ不幸になると思う。独占欲に見せかけた大きな自傷行為。

 誰しもが歪なピースを持って生まれる。大概は矯正されるけど、一つ二つは残るものだろう。だが、全くと言っていいほどそのままの形を持っている者もいる。いいか悪いか…で言うと当然悪いのだが、イヤ、マァ、気にしなくともよいだろう。だって歪といえども普通はそれと形の合うピースを持った、合わずとも柔軟に形を変えてくれる相手が見つかるものだから。さあ、私にはどうだろう。じゃあ、ヒント。まだ、そんなピースも人も見つかっていないかな。答えは死ぬ時に分かるね。

 泡沫の夢に堕ちてしまう前に。今日はこのくらいにしておこう。