お茶をこよなく愛したという鄭板橋。
鄭板橋
1693‐1765
中国,清の書画家。江蘇興化の人。乾隆1年(1736)の進士。山東の范県,濰県の知事となり,農民の困苦を救い善政をしいたが上役にさからって官をやめ,揚州で書画を売って自活した。画は草書の法をもって描いた水墨の蘭竹を最も得意とし,書は行楷の中に隷意をまじえ,みずから〈六分半書〉と称した。詩は興のおもむくままに作り,白居易や陸游に似るといわれ,〈悍吏〉〈私刑悪〉〈孤児行〉〈逃避行〉など,人民の痛苦を歌ったものが多く,〈家書〉などの書信も自然で率直である。
〜世界大百科事典 第2版の解説から〜
70歳まで生きるのは稀だと言われた時代に、73歳まで生きた”高寿の人”としても中国では名が高く、長寿の理由として、お茶好きだったことも影響しているだろうと言われています。
中国茶の授業でも度々彼の作品が取り上げられます。
以前のブログでも書いた、難得糊塗は彼の詩です。
その独特な感性と、ユニークな個性で、中国ではテレビや映画の主人公になるほどの偉人です。
そんな鄭板橋の『竹石』は代表的な作品として有名です。
(訳)
緑の山に根を張って 少しもゆらぐことがない
岩の割れ目の奥底に 根を突き立てている
幾度こすられ叩かれても 堅く強く立っている
東西南北 どこから風が吹いてこようとかまわない
私の家は、上海の龍華寺の近くにありますが、その近くの公園へよく散歩に出かけます。
お目当てはこちらの竹スポット。細くて繊細ではあるのですが、真っ直ぐとした生命力に溢れていて、そこを歩いているだけで元気をもらえる気持ちになります。
きっと鄭板橋が綴ったように、ぐんぐんと伸びていく竹を支えている根の強さを感じているからなんでしょう。
お茶をとても愛したという彼の詩には、お茶の話が度々出てくるのですが、こちらの七言詩には、「松萝茶」が登場します。明の時代から親しまれている緑茶です。
诗意谷雨
不风不雨正晴和,
翠竹亭亭好节柯。
最爱晚凉佳客至,
一壶新茗泡松萝。
几枝新叶萧萧竹,
数笔横皴淡淡山。
正好清明连谷雨,
一杯香茗坐其间。
(訳)
風も雨も降らない晴れた日
翠竹亭で過ごす良い季節
最愛なことは、涼しい晩に友人へ
新しい松萝茶を淹れること
幾枝かの新葉の竹
一筆一筆数えながら、淡山になっていく
ちょうど清明から谷雨になる季節
1杯の香茶がその間に腰掛ける
初夏、鄭板橋の詩を詠み お茶を味わう
「松萝茶」
竹を眺めている時のような
清々しい時間が心に流れていきます
明日から、週末ですね。
最近やたらと忙しく、落ち着かなかったこの頃。
明日の朝は公園を散策して、竹のパワーをもらいながら
鄭板橋のように、ゆったりお茶を味わう時間を作りたいと思います。
良い休日となりますように