韓国映画、『花、香る歌 』を観に行ってきました!
こちらを観に行った劇場、昨年までは会員になっており、いつ行っても1000円で観られたんです。
しかし最近、韓国映画の上映が以前よりも少なくなった気がして、今年は会員の更新をしなかったんです。
なので、その劇場に行くのは久しぶりでございました。
会員ではなくなったので、せめてレディースデイのお値打ちに観られる曜日に…と行ったのですが、ワタクシの勘違いでなんとその曜日は一般料金★
1800円払って映画観るの、いつ以来かしらん…(泣)。
でもですね!
1800円払っても、観て良かった! と思える作品でございましたよ!
(単にワタクシがケチなだけ)
朝鮮王朝時代末期、庶民の伝統芸能パンソリの歌い手は男性のみで、女性には許されていなかった。
幼いころに母親が他界してしまったチン チェソン(スジちゃん演)は、朝鮮初のパンソリ塾「桐里精舎」を開いたシン ジェヒョ(リュ スンリョンさん演)と出会ったことから自分も歌い手になると心に誓う。
チェソンは妓楼で奉公しながら、桐里精舎での練習の様子をひそかに見ていた…。
というストーリー。
なんと言いましても、チェソンの歌うパンソリが素晴らしかったです!
日本の音楽にはない譜割りで、もちろん言葉も違うのですが、それでいてこんなにも心を揺さぶられるものなのか! と。
驚き、感激しながらもどこか悲しくなりました。
歌詞の内容からくる悲しさではなく、日本と韓国の違いを目の当たりにして、違う国なんだ…と改めて思い知ったのが、悲しかったのです。
違いなんて、あって当然と言ってしまえばそれまでのことなのですが…。
日本と韓国って、どこか似通っているとことがあるな、と思うんです。
例えば文法だったり単語だったり、お料理で挙げれば海苔巻きとか!
劇中で知ったのは、昔の韓国では、女性がパンソリを歌うことは禁じられていたということ。
日本では、女性が文学や文字を学ぶことを良しとしない時代がありましたよね。
内容が違えど、どちらも文化的な教養が女性には許されていない時代があったわけで。
喜ばしい内容ではないのですが、どちらの国でもその時代の女性は同じ想いをしていたのかな、なんて、考えたりしました。
でも、やはり違う民族なんですよね。
圧倒的に異なるのは、その熱、とでも言いましょうか…。
根底に流れるものの温度が違うんだな、と。
そうなるまでには様々な背景があったわけですし、どちらが良いとか優れているとかではなく、言葉をお借りするならば「みんな違って、みんないい」ということだとは思うのですが。
えっとですね、何を言いたいかと申しますと…。
この映画を観て、パンソリを聴いて、「これは韓国人の魂が無ければ、歌える歌ではないな。」と感じたと言いますか。
日本と韓国、似ている所は多々あれど、歌を含む歴史は全く違うんだなと。
この違いが、簡単には超えられない壁のように思えて、なんだか急に悲しくなってしまったんです。
民族や思想や政治なんて難しいことは簡単に語れませんが…。
取っ付き易いところで挙げますと、K-POPを辿り辿っていくとそこへ行き着き、人々によって歌い継がれてきた音楽の歴史や情熱があるからこそ、現代の音楽があるんじゃないかなと。
パンソリの中でも早口で畳みかけるように歌う箇所があり、「あぁ、だからK-POPにラップは馴染むんだ!」と、腑に落ちた感じがして。
大袈裟で的外れかもしれませんが、そんなことを考えたりもしました。
劇中では、パンソリの技術を学ぶ上で滝の音にも負けない大きな声を出す、みたいな、とにかく大声を出せ! というような練習をしていました。
そんな練習じゃ、喉が潰れちゃうよ~! と、いささか疑問がなくもないのですが、あの練習の目的は「声を出すこと」以上に、「何の音にも負けず、歌を伝える情熱の鍛錬」なのかもしれないな、と観終わってから思いました。
短時間で色々考えさせてくれるきっかけとなった劇中のパンソリでございますが、なんとスジちゃん、吹き替え無しで歌われたそうです!
なんでも1年半もの期間、パンソリの発声をお勉強されて撮影に挑まれたのだとか!
それも、歌に対する情熱ですよね!
ほんとに素晴らしかった~!
序盤は日焼けしていたり男装したりと、華やかさのない設定だったのですが、小舟に乗って師匠と共に歌うシーンでは、歌の通りの悲しみとか痛みも相まって、そりゃもう涙が出るくらい、とっても美しかったです!
チェソンと師匠がお互いを想って選んだ道が、またとっても切なかったです。
トップアイドルでありながら、演技にも定評があるスジちゃん。
繊細な表情や色彩に富んだ歌声は、彼女の底力や根性があってこそのものなんだなと思いました。
また、師匠を演じていらっしゃるリュ スンリョンさんの、ほんの僅かな、凝視していないと見逃してしまいそうな1%くらいの笑顔も、満面の笑みに引けを取らないほどの温かさが伝わってきました。
とっても心に残る作品でした!