優しくしてくれないから

やる気にならない女と



やらせてくれないから

優しくできない男が



話し合いをした。




まるで妥協点が見出せず

言葉は通じなかった。




わかんねーよ!

いっそやめてしまえ!

君を待った方がいいんでしょ?

いや待たれても!



…生活全般の話に及び

およそやる気のなくなった頃



よし、じゃあやるか



と急にスイッチが入り

じっくりと体で会話することになった。




問題はなにひとつ解決されないまま

全面解決となった。




女の体が排卵期前だったことが

そうさせたのだった。




男に気を遣うことをやめ

男の体を好きに使うことを決めたら



とても満たされ

大抵のことはどうでもよくなってしまった。



男もまた、満たされ優しくなった。




このようなことが起こるのが

男女の不思議であります。




そしてそれは



恋でもなく

不倫でもなく



家庭生活、なのである。




家庭の礎がセクシャリティだなんて

最近まで知らなかった。




またひとつ、大人になりました。







満月の夜のことでした。