治療が始まって1か月程経ったころ、私は朝目覚めた時の腹部の痛みを感じ始めていた。しばらく手をあてていると治まる(様な気がした)ので、最初は我慢していた。けどこれが1週間近く続いたので、担当医にその旨伝えると、「うーん、入院長引いてるし、ストレスたまってるんでしょうね」で、終わり。


えー!というか、はぁ・・・といったがっかりした気分になる。警察も医者も何かが起きないとなんもしてくれへんのや!!!と、これも腹立たしかった。


そして、その次の日の朝、私は激しい腹痛とともに、激しい嘔吐、下痢に苦しめられる。一瞬気が失いそうになるほどだった。「こ、こんな格好で気を失ってはいけない・・・・・(冷や汗)」トイレの個室で這いつくばっていると、朝食後のプレドニンもトイレに流れていくのが見えた。あ~たいへん・・・・。


この事件が起きて初めて医者は動き出す。腹部エコーで腸炎(ループス性)と診断がでた。もう、もう、何がストレスだよ!ばかやろー。と怒りをどこにもぶつけられず、それどころかその日から絶食。腎臓食でも頑張って食べてたのに…それすらなくなるなんてぇ・・・・。


そしてその日から私の栄養は点滴で補充され、「薬は食事とってなくても、薬だけのんで大丈夫ですんで」と担当医。

プレドニンはきついから必ず食後、食べたくなくても薬飲まないといけないから、頑張って食べよう。といういままでの私の努力はバラバラっと崩された。

なーんだ、そんなもんかい。・・・そして薬の量が多い(元々飲んでたもの+ビオフェルミン)ものだから、薬でおなかが結構満足。「えーと、きょうのわたしのお食事はこれ」と、薬を並べて正座して飲んでた。

昔、漫画でこれ一粒を食べたら満腹になる丸薬ってのがあったけど、それを彷彿と・・・・。


断食1週間。腸炎の症状自体は治まったので、うすい粥から開始とのお達しがでた。

楽しみに待ちかまえていると、やってきたのはすべて液体状のもの。おかゆっていうか重湯みたいな。

だが、これが・・・おいしかった。一口その汁を口に含んだ瞬間、ぱぁぁっと幸福感のようなものがひろがった。

それはまるで、ブッダが餓えて瀕死の状態の時に、スジャータ姫にもらったミルクをのんで悟りをひらいたというエピソードを現代の一病室で再現したようだった(と、本人は思った)。


うーむ。これも実はステロイド大両投与による躁状態の一症状だったのだろうか。


いやいや。口からものを食べることは、味覚以外にもっと重要な役割があるのだと、入院前の職業であった言語聴覚士(摂食嚥下のリハビリ等おこなう)の意義を身をもって体験した感じ。


そのあと、私は悟りをひらいたりもせず、早く食事レベルアップ(粥レベル)しないかなぁ・・・と、ひそかに願っていた。