序章
~夜明け前~
ここは、どこ?
僕は、誰?
暗い闇の中。
何もない、ただ暗いそこは、
何故か懐かしく感じた。
何故なのか。
僕には、ぼんやりとわかったような気がした
ジリジリジリジリ~~~~~~~~~~~~~~~~
目覚まし時計の、けたたましい音が部屋いっぱいに響いてきた。
[紅蓮、紅蓮、(こうや)朝練の時間に遅れるわよ。早く起きなさい。]
うっすらと頭の中に音が入って来る
1階からかすかに聞こえる。母さんの声
僕は部屋に響く目覚まし時計の音を消そうと、手探りで頭もとを探る。
やっと目覚まし時計のありかを探し当て音を止めた
[やっとお目覚めか]
開けた部屋のドアにもたれるように立っている兄さんがいる
[に....いさ.....ん?]
僕は、聞き覚えのある声に開かれたドアの方を見た
[早く起きろよ。時間ないぞ。]
[今、何時?]
[さあな]
ああもうと思いながら止めた目覚まし時計を取った
[ええ、もうこんな時間?うそだろ?]
僕は、ベッドから飛び起きてクローゼットを開けてスポーツウェアを、取り出して急いで着替えると、テニスラケットの入ったケースを持って部屋のドアにもたれ立っている端正な顔立ちの兄さんの顔を見た。
[起こしてくれてもいいじゃない。]
[起こしたさ、何度もな。]
すれ違いざま兄さんに悪態つくとそう返された
[遅いぞ紅蓮(こうや)]
[ごめん、ごめん、寝坊しちゃった]
[寝坊したじゃあね~よ、まったく
今日の朝練は、先輩が来てくれるんだから、遅刻は無しだぞって言ったの、お前だぞ]
[そうなんだけど、先輩に会えると思うと中々
眠れなくて]
[眠れなくてじぁね~よ まったく]
この怒ってる相手はテニス部の部長北園優也(きたぞのゆうや)紅蓮(こうや)の幼稚園時代からの幼なじみ紅蓮(こうや)達が通う鷹城学園は幼小部から小、中、高、大とエスカレーター式で受験は無く進学校でも文武両道も掲げている。
[でも先輩も何で朝練だったんだろう?。]
首をかしげる紅蓮に優也は、
[夕方は、忙しいんだろ。何でもいいから先輩待たせんなよ。]
と少しイライラしながらそう言ってきた。